アントラーズが、中々勝てない。土曜日にレッズに敗れた試合は凄絶な死闘だった。絶頂時のアントラーズは、この手の試合は必ず勝ち切る強さがあったのだが、この日は終盤守り切れず(まあ、エメルソンをフリーにする長谷部の挙動を褒めるべきなのだろうが)苦杯を喫する。
ただ、戦闘能力と言う観点からは、私はアントラーズの近い将来はさほど心配な事はないと見ている。小笠原、中田浩、鈴木、本山と文句ない実力派の代表選手が並び、さらに深井、新井場など気鋭の選手もいる。青木の伸び悩みは痛いだろうが、優秀な中堅、若手の選手を多数抱えるだけに、潜在力は十分。このチームがここ最近苦戦しているのは、外国人選手が思うように機能していない点が大きいと見る(かつて、ジョルジーニョ、ジーコを別格として、レオナルド、サントス、アルシンド、マジーニョ、ビスマルクなど、キラ星のようなブラジル人選手が活躍していたこのチームとしては皮肉であるが)。監督の資質に議論はあるようだが(でも私はこの人の現役時代が大好きだったので...)、立て直しは十分に可能だろう。世代交替の端境期に来ている(ライバルの)ジュビロとは、状況は異なる。
繰り返すが、戦闘能力的には、このチームは問題は少ないと見る。
しかし、報道されているサポータと選手のトラブルは、看過できる問題ではない。処置を誤れば、今後のクラブの活動に多大な影響を与えかねない大問題だと思う。
どうやらTV映像でもその場面は流れたらしいが、私は試合終了後のその場面の映像を見ていない。しかし、各種報道によると、「試合後挨拶に来た選手たちに、観客席からビール缶が投げられ、本田がそれを投げ返し、激怒した相当数のサポータがグラウンドに下りて本田に狼藉をはたらいた」と言う事らしい。クラブサイドにより、VTRなどを用いて最初に缶を投げた輩、本田に狼藉をはたらいた輩などの調査は行われているようだ。
無論これらの活動は的確に行われるべきであり、今後の防止策は必達される必要がある。人の特定が行われた時点で、相当期間の入場禁止など、毅然とした処置が採られるべきであろう。しかし、もう1つ行われるべき処置は、本田に対する厳罰ではないか。報道通りだとすると「本田はサポータの集団にビール缶を投げ返した」と言う。結果的に、群集の怒りを煽ったのも拙かったが、それ以上に投げ返した缶で観客が怪我をしたらどうするつもりだったのか。腹が立つ気持ちはわからないでもないが、感情で動いてよい場合とそうでない場合があるのだ。プロの職業人として、極めて恥ずかしい行為だ。まして、本田はかつての主将で、元日本代表の大ベテラン、本来であれば他の選手の見本としての立場を求められる立場だ(もちろん、立場がこの罪の大小を左右する訳ではないが)。
例えば、観客の暴言に対して感情的に言葉で応じてしまうとか、試合終了後の挨拶を拒絶するとかならば、観客を傷つける恐れはない。しかし、本田の行為はそうではなかったのだ。興行する側の人間から見て、客の暴走に対する口先の反応と、客を傷つける恐れのある行動は、全く別次元なのだ。後者の罪を犯した本田には猛省してもらわなければならない。一部の報道が、本田に同情的な事に違和感を持つものである。
幾多の実績を残してきた、大好きな部類に入る選手に、このような事を書かなければならない事が悔しくてならない。
