本当に悔しいが、前半序盤のガタガタ振りに、一種の既視感を感じたのは私だけではあるまい。そう、4年前のワールドユース決勝なり、01年春先のサンドゥニの惨劇である。当時のスペイン、フランス、今日のブラジルなど、日本よりもスキルフルでボール回しが巧みな国に対し、ラインを下げてしまい、いいように振り回されての大量失点。まあ、コロンビア人の主審に不満を言いたくなる場面もあったが、それもまた経験なのだろう。
このチームは、今野のような精神的な柱もしっかりしており、菊地のような判断力に富む選手を抱えており、大崩れはしないのではないかと思っていた。しかし、肝心の菊地がズルズルと下がり、あまつさえゴールエリア内でボール処理を誤り、決定的な2点目を提供してしまったのだから、打つ手なしとなった。菊地と言うこの有能な守備タレントの守備スタイルは、井原のように敵の攻撃の一番恐ろしい部分に自らを振り向けるスタイル、宮本のように敵の攻撃の意図を丁寧に予測し危機を未然に防ぐスタイル等とはまた異なる魅力を持つ。自分のプレイイングディスタンスと敵の攻撃との相対関係を正確に予測する事で球際ギリギリを見事に防ぐやり方なのだ。ところが、立ち上がりに徳永がFKを提供した場面、敵右サイドバック2番(上記の2点目の完璧な起点にもなる)の球出しと左ウィング7番(そのFKを見事に決める)の動き出しに崩される事で、菊地は持ち味の予測能力に完全に自信を失ってしまったのだろう。この日の大失敗経験を糧として、成長する事を望む。まずは強力そのもののジュビロ守備陣でのレギュラ獲得が課題となる。
それにしても悔しいが、戦闘能力に差があったのは事実。センタバックやボランチが強くて攻めあぐむのは、このレベルの敵ならば当然だが、前述の2番、7番、あと10番の3人の攻撃能力の前に屈した訳だ。この3人ほどの圧力を、坂田にせよ、平山にせよ、谷澤にせよ、成岡にせよ、ブラジルに対して与える事ができなかったと言う事だ。この差を冷静に見つめる事も必要だろう。
こう言うと悔しいが、結果論として、今大会、この日本ユースが素晴らしい経験を積んだのもまた事実。同格のイングランドを競り落とし、やや格上のコロンビアに沈没し、同じくやや格上のエジプトに辛抱勝ち。さらに宿敵韓国と世界大会で初お目見えし打ち破り(しかも逆転、Vゴール)、最後にブラジルに殲滅された。この5試合の経験こそ、ワールドユースで積みたかったものそのものではないか。
素晴らしい奮戦振りを見せてくれた、我らの若者たちに、休息はほとんど無い。帰国すれば、多くの選手に天皇杯が待ち構え、すぐにアテネ予選が始まる。彼らは必ずや、この砂漠の国で積んでくれた経験を有益に活かしてくれるに違いない。
