blog武藤文雄のサッカー講釈

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■ 敵地のインド戦に向けて −ジーコのひみつ、その2−

 早いもので、敵地のインド戦まで、あとわずか。
 アジアカップを制したチームに、小野、久保、高原が加わり、中村、玉田が体調不良で抜ける編成。細かな疑問を言い始めれば、体調が全く読めない欧州の高原よりは大久保や田中達也だろうとか、アジアカップで諸問題を露呈したサイドプレイヤに五輪代表を含めた新たな選手の起用を検討すべきではないか、などと突っ込み所は多々あるが、そのような話をいくら議論しても不毛のは、この2年間で存分に学んだ事だ。
 ただし、中田がセリエAの開幕にすら間に合わないかもしれないと言う情報、何となく疲労の蓄積で昨シーズンに戻ってしまったのではないかと思わせる中村の体調、どうしてレイソルで活躍している玉田が負傷で不選考なのか、などメンバに入らなかった選手のフィジカルコンディションについてはとても気になるのだが。
 インドの気候条件がいかほど過酷は不明だが、シンガポール戦と異なり、出場選手皆が日本から現地に行くのだからあそこまで動けなくなる事はなかろうし、何より久保もいるのだし、当たり前に大量点を取って勝ってくれる事だろう。

 と私のような野次馬は思うのだが、ジーコ氏は違うようだ。
「とにかく勝てばよい」
と発言したとの由。以前ならば「また試合後の言い訳の伏線が始まった」と素直に理解するところだが、アジアカップ制覇をした今となっては、そう素直に理解するのは、いささか危険である(笑)。私は、「ジーコ氏は『心底1点差でもいいから勝てればよい』と思っているのではないか」と思い始めたのだ。
 我々が「大差で勝ちたい」と思うのは、先を読んでの話。オマーンでもし1点差で負けた場合、少しでも勝ち抜きの確率を高めるために、インド戦でより大量点を取っておく事が望ましい(現時点で若干得失点差で劣勢でもあるし)からだ。
 ところが、ここまでのジーコ氏の采配ぶりを眺めると、以前から散々批判してきたのだが、中長期思考が感じられない。今回の「1点差発言」もそうだが、昨年の東アジア選手権でも香港戦で大量点を狙いに行かず、最後の日韓戦で得失点差で劣り優勝できなかった。
 いや、得失点差の議論に留まらない。準備試合でも、タイトルマッチでも、ジーコ氏は「ベストメンバ」を選んで、交替選手を使わない事が多い。ただひたすら目先の勝利を目指しているかに見える。

 今までの論点では、
「だから長期的視点がなくその場主義のジーコ氏では駄目なのだ」
が結論だった。しかし、アジアチャンピオンを獲得した今、そう結論を急ぐのではなく、視点を変えてみたらどうかと思い始めたのだ。つまり、
「ジーコ氏は信念を持って『その場主義』を貫いている」
と考えてみたのだ。言い方を変えよう。サッカープレイヤとしてありとあらゆる修羅場をくぐってきたこの男は
「サッカーの必勝法は『その場主義』だと体得している」
のではなかろうか。

 この思いつきのような仮定を元に議論を継続していきたい。

 あ、先日全く別なアプローチで準備されたチームが惨敗したのを目の当たりにした事が、この仮定を補強しているのは否定しません。

投稿時間 2004年09月06日
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