blog武藤文雄のサッカー講釈

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■ 松井のフランス行き

 サンガ及び五輪代表の技巧派である松井の、フランス2部リーグルマン入りが決定したらしい。

 松井と言う選手は技巧と冷静さが身上。一昨シーズンに大きく成長した。五輪代表で参加したアジア大会で独特のスローテンポのドリブルと、その後の実に落ち着いたシュートやラストパスに感心。サンガでもその魅力は存分に発揮され、チームのJ1復帰と天皇杯制覇に大いに貢献した。天皇杯準決勝の得点の落ち着きぶりなどは、カズの全盛期を思い出させてくれる程だった。この時点でのサンガは、万能型ストライカ黒部の周囲における、韓国代表のスター朴智星の高速、松井のスローテンポそれぞれのゲームメークの絶妙な組合せが、大変魅力的なチームだったのだ。
 ところが、昨シーズンに入り、朴智星のオランダ移籍によるチームの低迷に伴い、名将エンゲルス氏が更迭され、サンガは完全に混乱状態に落ち込み、再びJ2降格。松井自身も、個々のプレイ振りは悪くなかったが、チームの低迷を救う活躍には至らなかった。
 さらに今シーズンは、五輪代表の異様な長時間拘束(さらにそのスケジュールはJ1日程を前提に組まれている)のため、松井自身サンガで落ち着いてプレイする機会が少なく、明確な活躍はできていない。
 一方の五輪代表も、山本監督の執拗な「テストごっこ」の連続で混乱。頻度多く召集されるものの、類似、近傍のポジションのライバル、大久保、田中達也、山瀬、前田らと連携を高める機会は与えられず、ただ単純に競わされる日々が続いた。それでも、今回の五輪代表の最高の試合と言える2月の日韓戦の勝利では、松井は持ち味の技巧と冷静さを見事に発揮し勝利に貢献した。
 そして2年の月日をかけてぶっつけ本番で臨んだ五輪本大会。松井は小野と大久保の中間を独特のドリブルでつなぎ活躍。ただ、イタリア戦の後半立上り、小野のスルーパスから完全に抜け出した場面で、「冷静過ぎて」シュートが遅れた場面は痛恨だった。

 と紆余曲折で成長してきている松井、所謂攻撃的MF、あるいはファンタジスタと呼ばれる花形プレイヤになり得る素材である事は間違いない。ただし、A代表でその座を獲得するためには、数歳年上の中田、中村、小野、小笠原と言う分厚い壁がある。そして、松井は彼らと競うための必要条件である「単独チームでの安定した活躍」を満たしていないから、その分厚い壁に向かう立場にすら、まだ立てていない。しかし、既に松井はもう23歳なのだ。上記の所属チームの不運の連続があったとは言え、そろそろ安定した(例えば1シーズンを通じて)活躍を見せてもらわなければならない年齢だ。
 そのようなタイミングで、いきなり欧州へ進出するのが、本人にとって適切なのだろうか。環境に適応するための時間的損失があってよいのだろうか。今は自らのプレイスタイルを確立し、常時活躍できる安定感を身に付ける事が肝要ではないのか。フランスの2部リーグのレベル云々以前に気になって仕方が無いのだ。

 ともあれ、正式に決定したのであれば仕方が無い。私の懸念が外れ、欧州で松井が君臨し、日の丸を着けて大活躍する事を期待しよう。

投稿時間 2004年08月26日
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