昨年、ワールドカップ予選プレイオフで痛恨の判定ミスを犯した吉田寿光氏が、当時の背景を朝日新聞で語った(このリンク先は「サポティスタ」のものを利用させていただいている)。
胸を打つ文章だ。これほどのトップレベルの審判でさえも、ルールの運用に混乱をきたしてしまった事情(最初「PKやり直し」と判断した後、「間接FK再開」と誤判断した背景となる、ルール改訂への言及が欲しかったが、これは贅沢と言うものだろう)、さらにそこに至る吉田氏のワールドカップへの想いと、断念せざるを得なかった精神面。
このようなミスジャッジについて、トップレベルの審判である当の本人がここまで赤裸々に語った文章、いや発言すら、まったく記憶にない。朝日新聞の企画、編集サイドの見事な仕事と言えるだろう。2006年のサッカー界の最優秀報道賞は、新年早々ほぼ決定ではないかと思わせる程のヒットと言えるかもしれない。専門誌エル・ゴラッソ完敗。
吉田氏本人も、相当つらい日々を送っていたのかもしれない。今回の告白を契機に吹っ切っていただき、また見事な判定振りを見せていただきたい。さらに、この企画はどうやら連載となるようだ。トップの審判の見地からのサッカー論は、今後とても愉しみになる。
また今回の文章がもし翻訳されてウズベクの人々に伝わったとしても、彼らの無念さは未来永劫消えないだろうけれど、ある種の納得を得ることもできるのではなかろうか。少なくとも、吉田氏の本音は伝わるだろうから。
ただし、残念な事もある。それは、このような不運な事態だっただけに、情報公開は日本協会主導で行って欲しかった事だ。しかし、日本協会は、あるいは川淵会長は、この問題について、そこまでの危機感を持って臨まなかったようだ。残念だが、現状の日本協会の危機管理能力がその程度のものであると言う事だろう。
ともあれ、朝日新聞のこの好企画が、ここ最近閉塞気味の、日本サッカー界の審判問題に風穴を開ける事を期待しよう。
