さて欧州選手権。
何とも言えない開幕戦。ギリシャの見事な守備組織と、いつもの事だがリズムが崩れたポルトガルのダメ振りを堪能できた。
ギリシャの代表チームと言うと、94年ワールドカップで「最後の」ディエゴに粉々にされた試合の印象が強い。あの時は、いずれの選手も頑健でそれなりに技巧的ではあるが、守備組織や攻撃のアイデアには不満が残るチームだった。10年経った今回のチームだが、実に見事に組織化されていた。なるほど、タフな予選を勝ち抜いてくるだけの事はある。そして詳細は後述するが、レーハーゲル氏の何と言う手腕!ここまで見事に守る事ができたのは、先制に成功した賜物だろうが、再三見せた逆襲の巧みさもなかなか。じゃあ、スペインやロシアに同じ手が通用するかとなると疑問だが、いずれのチームも「いやな感じ」を持って、ギリシャに臨まざるを得ないだろう。
そして、ポルトガル。何と絵に描いたような、負けっぷりだろうか。特に負け試合でのフィーゴの試合終了間際の奮闘と、逸機した時の悲しげな表情は、何とも味わい深い。フェリペ氏ならば、ポルトガルの名手たちを、巧みに組み合わせた攻撃陣を構築してくれるのではないかとの期待もあったのだが。もっとも、まだ2試合ある。この日の反省により、各選手に個人技に走るのは最後の最後の決定的場面のみに絞る事を徹底させられれば、スペインだって破れる潜在力は持っているチームなのだから。
スペインはなるほど強い。ドイスボランチの大きな展開から両翼を走らせる攻撃、中盤の稠密なプレス、それぞれは実に見事、なるほど優勝候補だ。ただし、2トップがラウルは確定として、モリエンテス、バレロン、フェルナンド・トーレスと、有力な候補選手がい過ぎて、メンバを固めづらい問題をどうさばくかがカギか。伝統的な勝負弱さ?も含めて、興味深いところだ。
ロシアはスペインの猛攻をよく凌いでいたのだが、選手交替直後のバレロンの一発に沈んだ。時折カウンタから好機を掴むが、シュートの思い切りが悪い。メンバは変わったが、2年前の横浜と同じと思ったりして。
しかし、私が最も感慨を受けたのは試合の本質と全く異なる事だった。
素晴らしいギリシャの守備網を構築したオットー・レーハーゲル監督と、TV解説の奥寺氏との再会である。
レーハーゲル氏は、ブレーメンの監督時代に、奥寺の知的な判断力を見出し、所謂3−5−2のサイドMFとして確立させた名将。氏が作り上げたチームは、職人肌の特徴ある選手に明確なタスクを与えるサッカーでブンデスリーガの上位で活躍。奥寺は欧州での長いサッカー生活の最後の3年間を、レーハーゲル氏率いるブレーメンで過ごす。そして、ブレーメンの奥寺最後の試合は、国立で行われたキリンカップ決勝のパルメイラス戦(カズが敵にいた)だった。奥寺の活躍もあり、勝利を収めたブレーメン。試合終了直後、抱き合うレーハーゲル氏と奥寺。試合終了後氏が語った。「奥寺と私は3年間同じチームで戦った。3年は人生において長い期間だ。私はこの思い出を大切にしたい。」
そのような素晴らしい監督が見せた見事なサッカー。弟子は師匠の恐るべき手腕を、オポルトの街で再発見した訳だ。
