blog武藤文雄のサッカー講釈

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■ 続々日本、欧州間の移籍金問題

 いよいよ中田浩二問題も煮詰まってきた。
 
 スポーツ新聞報道なので割り引いて考えてみる必要はあろうが、アントラーズサイドは中田浩二に「残る」か「勝手にするか」と最後通牒をつきつけたらしい。中田浩二は追い込まれてしまった。大事なワールドカップ予選前に、代表選手が契約問題でこのような状況に追い込まれたのはとても残念だ。考えてみれば、今回のオファーは中田浩二と縁深いトルシェ氏の引きから始まったもの。適切な交渉が行われていれば、ここまでもつれる事はなかったろう。このようなトラブルを見ると、中田浩二が有能な代理人と契約していればと、残念に想わざるを得ない。

 とは言え、アントラーズの「ゼロ円」移籍案は、一昨日、昨日とグダグダと講釈した、FIFAルール(一昨日まではEUローカルルールと想っていたんだな)と、JFAルールの間隙をつく、1つの手段だ。もし中田浩二が欧州で想うように力が発揮できずに(あるいはマルセイユの現監督がクビになり(笑)、次の監督から干された時に)、再びJでプレイしようとした時に、2年半以内ならばアントラーズにJFAルールの移籍金を支払わなければならないと言う事になるから。アントラーズからすれば、ある一定期間に渡り、移籍金を受け取る権利を持てる。
 さらに選手に対する相当厳しい脅しにもなる。もし深刻な負傷などした場合に、中田浩二が帰国していずれかのクラブと契約しようとした場合でも、アントラーズが満額の移籍金を求められたりしたら目も当てられない。
 さらに、マルセイユがアントラーズに納得できる移籍金さえ払えば、上記の問題は消えるのだから、ある意味で合理的な対抗策である。
 今回の騒動によって、JFAもFIFAの移籍ルールに合わせたルールに変更すべきではないかとの意見を見かける。しかし、「この2年半ルールを延長するだけで、海外流出防止になるな」と言う印象を持った(あ、私は決してそれを望んではいませんよ、だけど今回みたいなトラブルが起これば、Jの各クラブはそのような「防衛する」方向に動くだろうな)。

 もう1つ、コメント欄で、「楽しく読ませてもらってます」氏より、「為替差により優位な人材が国を越えて流動化する事は、他産業では当然であり、サッカーも例外ではない」と言う意見が寄せられた。早速、他の方が反論を寄せて下さったが、私も同氏には賛成できない。
 経済原理により国際的に人材が流動化すれば、結果的に特定の国にその産業力が偏在化する事になる。しかし私は、サッカーと言う産業は「世界中全ての国の津々浦々で、よいサッカーを見て愉しむ事ができる環境が存在する」事が重要だと想っている。私に「ベガルタ仙台」と言う玩具が不可欠なのと同様に、(日本や欧州と比較して)経済状況が良くない中南米、アフリカ、アジアなどの方々にも同様な玩具が必要なはずだ。その玩具を、世界中のサッカー狂のために、適切に提供する環境を提供するのがFIFAの最も重要な業務ではないのか(例え、それが保護貿易と言われたとしても)。
 とは言え、同氏の意見は、「よいサッカー選手が、できる限りよい収入を得られればよい」と言う見地からは、適切なものだと想う。私は意見が異なるが、異論あっての議論。適切な発言に多謝。

 中田浩二の決断がどうなるかはわからない。このトラブルを糧として、一層成長してくれる事を。

投稿時間 2005年01月25日
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