結局、「ジーコのひみつ」も「トルシェ氏総決算」もまとめられず。書く内容は、ほぼ固まっているのだが。もう、豪州戦直前となり、そうこう言っている場合ではなくなってしまった。とにかくこの文章は、豪州戦についてまとめたもの。
まずジーコ氏。記者会見での表情がよかった。例の埼玉オマーン戦やシンガポールシンガポール戦での苦戦のあたりから、非常に人相が悪くなってしまったジーコ氏。あのレバノン戦のPK戦での氏の落ち着かない表情には、川口の颯爽とした表情との対比を含め、考え込んでしまった。以降、日本の調子がよくなった時も、何かしら落ち着かない表情が見受けられた。まあ、私のような輩が、幾多の誹謗を重ねたのがいけなかったのだろうけれど。
けれども、今日の記者会見での氏の表情は、あのセレソン時代、あるいはアントラーズ時代の、「素敵なジーコ」のそれだった。何か嬉しかった。
私はまだ国内でウロウロしているが、もうすぐ渡独する。その目的はジーコ氏への謝罪に他ならない。そして、この日の氏の穏やかな表情を見て、謝罪の可能性の高さに胸躍らされる(この謝罪については、近々もう1回書かなければならないな)。
ドイツ戦で完璧に近かった2トップのの高原と柳沢。2人ともユース代表時代から将来を嘱望され、若くして代表に定着し、欧州に移籍した。ところが、欧州移籍後は思うような活躍ができず、ここ2シーズンの単独チームでの出場機会が激減していた。それでも、この2人はどうやらこのドイツに体調を合わせてきたようだ。あのドイツ戦の1点目での(中村と中田のサポートを受けた)この2人に完璧なコンビネーション、あれくらい美しい得点を、豪州戦でも期待しようではないか。
控えにいる大黒の得点力、巻の献身性については、何の不安もない。大黒のすり抜けへの対応は豪州の守備ラインには相当難儀だろうし、巻の強さは豪州の屈強な選手に遜色はないだろう。代表での働き場がまだ決らない玉田だが、最初のファーストタッチに神経を使えば、あのドリブルは相当効果的なはず。
どうやらドイツ戦で削られた加地は間に合わないようだ。もっとも、ドイツ戦では交代出場した駒野の出来は素晴らしかった。もともと、守備での粘り強さとクロスの精度は、加地を上回る評価を持つ駒野。暑い気候の中、加地に負けない運動量で敵を切り裂き、キューエルを完封するのだ。問題は加地の体調が回復するクロアチア戦以降、いずれかを起用するかだろう。
一方、過去再三酷評してきたアレックス。ただし、この選手は日本が中盤を制している状況では、十分に有効な攻撃兵器となる。この重要なワールドカップで悪癖のサボリなどゆめあるまい。ドイツ戦では、中田、中村と巧みなショートパスでの連携も見せてくれた。この選手は中村のロングパスとの相性はよいし、動き出しを工夫すれば中田の展開とも合うはず。
中村の展開を受けたアレックスのカーブをかけたクロスが大外から走りこむ柳沢にピタリと合い、そこから歓喜の得点が入る場面が眼に浮かぶではないか。
中澤の復調が大きなカギを握るのは言うまでも無い。そして、ドイツ戦を観た限りでは、順調に復調していると見た。春先からJリーグにかけての不振は目を覆うものだった。報道によると、昨シーズンからの疲労と言う情報もあり心配されたが、何とかなりそうだ。とかく、豪州の空中戦やロングボール戦法について不安視する報道が多い。しかし、単純な強さでやられて勝負が決まる事は、ワールドカップのようなレベルの高い戦いではそうは起こらない。中澤のようなタレントがそのような攻撃を封殺してしまうからだ。
坪井も持ち味のスピードに、よい意味での激しさが加わってきて、非常によい守備者になってきた。以前は警告を受ける事すら少ない事を自慢していたようだが、最近は相当激しいプレイを見せカードを食らう事も増えてきた。これはいい事である。どのようなFWが来ても、坪井の背後を取るのは相当難しいはず。
センタバックの控えは、不運な田中誠の代替選出となった茂庭。強さに加え、柔軟な対応を得意とする選手であり、強心臓にも定評があるので、それほど不安はないだろう。
3DFの前でディフェンススクリーンを務めるのが福西。元々、中盤後方からの進出が持ち味の選手だが、このチームではMF最後方の守備が主担当。いささかラフで危険なプレイを見せる事があるが、豪州の大柄な選手に遜色ない肉体能力は貴重な存在となる。もちろん、攻守いずれのセットプレイでも彼の空中戦の強さは貴重なカードとなろう。
問題は福西の控えが明確でない事。稲本は結局ジーコ氏就任以降代表でよいプレイを見せたのは数えるほど。遠藤はむしろ技巧を活かした配球を得意とする選手。となると、福西のバックアップ、あるいは終盤の守備固め要員として重要になるのは、むしろ中田浩二になるのか。左サイドでの起用も噂されるが、終盤中盤の守備を強化したい時に期待は高まる。
ビッグゲームになればなるほど、川口の存在価値は高まる。苦しい状況での川口の強さには定評のあるところだ。もっとも、川口が活躍する状況が少なければ少ないほど、結構な事なのも間違いないところ。ここはブラジル戦及びトーナメントでの大活躍を期待する方が適切なのかもしれない。
控えの土肥と楢崎の実力も問題は全くなかろう。ただし、ポジションがポジションだけに、大会終了まで川口1人でまかなえるのならばそれに越した事はないのだが。
宮本が重要な存在になるのは間違いの無いところ。とかく宮本に対しては守備能力の低さを問題視する見方が(ガンバの西野監督を筆頭に)多い。しかし、このようなスタイルの選手は、読みを過たなければよいのだ。かつてイタリアの守備ラインをリードしたフランコ・バレシは、宮本と類似のスタイルの選手。様々な守備者を配下として動かし、自らは読みのよさのみを前面に押し出し、世界のサッカー界を席捲した。要は、フランコ・バレシ同様、100%完璧な読みを見せてくれればよいのだ。
そこでもう1つポイントになるのが、激しさを前面に出す闘志。フランコ・バレシは、ここぞと言う時に見せる強烈なタックルは凄いものがあった。宮本は守備者としては決して大柄ではないのだから、一層激しいプレイが必要なはず。
そして、完璧な読みに激しい闘志が加わった時、我々は井原以降獲得していなかった、真のキャプテンを久々に手にする事になる。堂々たる成績と共に。
そして日本の勝利の源泉となる中盤の創造者たち。先日のマルタ戦では機能不全に終わった、小野、小笠原、中田、中村の4人である。先日のマルタ戦を見る限り、この4人が同時にピッチに立つ可能性は限りなく少なく、基本的には中田と中村のみがレギュラとしてプレイする事になろう。それはそれで仕方が無い事だ。
レギュラから外れる事になる小野だが、直前のJリーグでのプレイにせよ、キリンカップでのプレイにせよ、体調も相当回復したようで、申し分なかった。勝負どころでは、最も頼りになるプレイを見せくくれるに違いない。ただし、小野にとっての唯一の問題は、現時点で小野をどこのポジションで誰と組み合わせるとよいのかが、未だ明確になっていない事だ。これはもう、ジーコ氏のヒラメキに期待するしかないのかもしれない。
一方で小笠原に期待されるのは、図抜けた冷静さ。時には悪辣にすら見えるプレイを見せる小笠原、本当に苦しい時間帯に起用された時に真価を発揮するのを期待したい。
そして、中村。ロナウジーニョ、リケルメ、ジダンと言った10番の巨人達に準じるレベルのプレイを、全世界的に期待されるレベルまで到達している。豪州、クロアチアと日本の決定的な差は、「日本は中村の存在により、必ず1試合に複数回決定機を作る事ができる」事ではなかろうか。日本人による創造的かつ意外性のあるプレイが、再三ワールドカップ本大会の場で観る事ができると思うと、それだけでワクワクしてくる。
中田の3回目のワールドカップは、その中村との美しい連携を見せる事が目的となる。そのために必要な事は、持ち味の強さを発揮して、ボールをよく拾う事なのではないか。いつの時代でもルーズボールをいかに拾うかは、勝負を分けるのがサッカー。そして、今大会に関しては、中田がその仕事をする事が非常に重要になると思う。明神が中田のようなプレイをするのは難しい、しかし中田は明神のようなプレイをする事は十分可能なはずだ。
豪州は、実に前の西ドイツ大会以来32年ぶりの出場。もっとも予選でウルグアイを下しているのだから、確かになかなか強いチームだ。そして、一部報道にあるように、ロングボールばかりの単調なサッカーを持ち味にしている訳ではなく、丁寧につなぐサッカーを指向している。
ただし、つなぎ合いならば、技巧と判断と瞬間的なスピードに自信がある日本の方が質が高いはず。したがって、忠実な中盤のチェックと90分間の集中力をしっかりと継続すれば、勝ち点3を獲得できる確率は決して引く無い。決して楽な試合になるとは思えないが、日本らしい技巧に富んだサッカーにより、堂々とした勝利を掴む事を信じて疑わない。
