blog武藤文雄のサッカー講釈

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■ ベルマーレ考 下(ただし未完)

 女子代表監督上田氏が、ベルマーレに近日中に復帰するとの報道が流れている。我ながら実にタイミングよく、ベルマーレについて講釈を垂れているものだと笑ってしまった。そう、これだけ旬の監督を獲得できるのだから(もう決まったんですよね、実は出身のベルマーレ行きはマスコミの先行憶測に過ぎなくて実は金満のJ1クラブ行きと言う事はないですよね)、歴史のあるクラブは強いのだ。

 と言う事で、私は「ベルマーレの何について」将来を懸念しているかを続ける。
 Jのクラブを乱暴に分けると、「明確なスポンサを持つクラブ」と「持たないクラブ」に分けられる。J1の強豪クラブのほとんどは前者だし、J2でもフロンターレ、サンガ、アルディージャなども前者だ。これらのクラブは安定したスポンサからの収入をベースにチーム強化を行う。地元密着は当然行われるべきだが必須事項ではない。しかし、後者のチームは比較的小規模のスポンサを多数集める必要があり、地元密着は極めて重要な要素になる。そしてベルマーレは典型的な後者のチームである。しかし、私にはベルマーレが十分地元に密着しているとは思えないのだ。そして、私はその事を強く懸念している。

 まず、平塚近郊は、サッカークラブが地元に密着する上で、結構厄介な地域である事を述べたい。
 第1にマスコミの問題。関東地方で流れるTV番組は皆一律東京のキー局からの番組だ。しかし、地方都市は異なり県単位でローカル局からの番組となる。多くは東京のキー局の番組を流すが、ある程度の時間はローカル局独自の番組が流れる(これはNHKでも同様)。そして、ローカル局にとって、地元のJリーグチームの映像は非常に重要なコンテンツである。かくして、地方のチームはコンスタントに映像露出が可能になり、自然となじみが深くなるし、試合日程なども認知されやすい。しかしベルマーレにはそのような機会はほとんどない。テレビ神奈川と言うローカル局はあるが、視聴率は知れているし、サッカーのメインコンテンツはマリノスになる。ベルマーレを熱心に追いかけるTV局は湘南ケーブルTVくらいだが、これを映像露出とは呼べないだろう(とは言え、湘南ケーブルTVのベルマーレ中継は私の愛好番組だ、アナウンサが1人で中継するのだが、ベルマーレに不利な判定の時の悔しそうな1人つぶやきは、なかなか愉しい)。
 さらに、新聞にしても、全国誌の神奈川県ローカル欄に登場するのはまずマリノスになるのは言うまでも無い。神奈川新聞と言うローカル新聞があるが、残念ながらシェアは低いし、ここのスポーツ欄も主役はマリノス、強豪にフロンターレ、横浜FCと苦しい。
 第2にサッカーを娯楽と捉えた場合の競合の多さ。サッカーそのものを愉しみたいと思っている人ならば、平塚競技場を回避して横浜国際まで久保や中澤を見に行く方が自然かもしれない。さらに、平塚から東京までは片道約1時間、千円ちょっとで行ける。つまり、東京なり横浜で行われている娯楽、プロ野球も芝居もショッピングモールもディズニーランドも、全てがベルマーレの競合なのだ。平塚近郊では、サッカーは貴重な娯楽資源ではない、あくまでも娯楽選択肢の1つに過ぎないのだ。
 
 と言う前提にたって、J2降格以降のベルマーレを見直してみる。
 幸か不幸か、昨日述べたフジタ撤退時のベルマーレフロントの手腕があまりに水際立っていた。一般マスコミが騒ぐ前に危機は回避されてしまったのだ。
 ところがそのために、平塚市民はもちろん、多くのベルマーレサポータでさえ、あの時いかにチームが消滅寸前の危機的状況にあったかを、気が付いていない。横浜FCやヴァンフォーレのサポータが味わった地獄一歩手前の感覚を、ベルマーレ周辺の人々は味わい損ねたのだ。
 考えてみれば当たり前の事だが、一般の平塚市民からすれば、フジタ工業がどうしようが一切関係はない。「あの時」の全日空ぐらい凄い振る舞いをされれば、皆が気付いたのだろうけれども。かくして、一般市民の方々は「何かよくわからないが、ベルマーレはお金が足りなくなって弱くなり2部に落ちたのだ」としか思っていないのだ。そして、ちゃんとチームは生き残っているのだから、市民全体に危機感など広がる訳もない。
 結果的にベルマーレは、一昨日述べたように、J2降格時に観客動員が減り、そのままの観客数がここ数年定着してしまっている。おそらく、平塚競技場でベルマーレを愉しんでいる人々の相当なパーセンテージの顔ぶれはここ数年変わっていないのではなかろうか。これはJ1時代に「サッカーの本質的な快楽」に気が付いた人々のみが残っていると言う事ではないか。極めて乱暴な推測だが、ベルマーレは数千人の固定客にのみ支えられているようにすら思えるのだ。

 つまり、元々市民の関心を集めるのが困難で、競合となる娯楽が多数ある地域で、実は消失寸前と言う危機感を与え損ねたクラブが、以前よりも魅力的とは言えないサッカーをしている。残念ながら、これでは地元に密着しているとは言い難い。大変苦しい状況なのだ。そして、もし有力なスポンサが撤退しようとしたら...

 今日はここまでにしたい。上中下では述べきれませんでした(笑)。何にせよ、明日は平塚競技場で旗振り。述べ切れなかった事(上記の問題に対するベルマーレの努力、それに対する批判と改善提案など)は、別途近日中に述べることにする。

 何はともあれ、明日は勝つのだ!ベガルタ!!!

投稿時間 2004年09月03日
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