一連の野球のデモについては、明確な意見は持っていない。
要は「将来の野球界をどうしたいのか」で考えは変わるからだ。現在のプロ野球のように少数に限られたチーム間でのみ参加権を持つべきなのか。サッカーのように、参加権の間口を広げるべきなのか。それとも、他の方向を模索すべきなのか。そのような「大目標」をどうするかと言う議論をまずすべきなのに、個別の方法論の議論に入ってしまっては、まとまる話もまとまらなくなると思うのだ。
選手会も、闘うならば「合併阻止、凍結」とか「新規参入タイミング」などの、方法論に議論を持ち込むべきではなかったのではないか。議論すべきは「将来の野球界をどの方向に持っていくべきか」と言う一種の、哲学論なのではなかろうか。
と野次馬を決め込んでいた野球の行く末。
ところが、新球団の経営を希望する会社が、何と「来年から新チームを仙台に本拠地を置こうとしている」との報道にはビックリ。何人かの方からもメールで「プロ野球チームが仙台に本拠地を置いた場合、ベガルタはどうなるだろうか」と意見を求められた。ヒトゴトが一気に現実に落ちて来た想いすらする。
私の意見は「まともでない計画を、J2佳境の今頃騒がれる事は大変迷惑だ」である。
と言うのは、「来年のプロ野球仙台本拠地計画」が現実的とはとても思えないからだ。
まず観客動員。ベガルタは隔週の試合に2万人足らずの観衆を集めるのに四苦八苦しているのが現状だが、仙台のプロ野球チームは、ならして毎週2〜3試合に一体何人の観衆を集められる見込みなのだろうか。野球はサッカーよりも人気があるかもしれないが、いきなり来年の3月からそれほど観衆が集まるとはとても思えない。観客を集めるためには、しっかりとして計画的なチケット販売計画とその実現がなければならない。そもそも、現在のプロ野球チームは、それぞれの本拠地で何年も何年も執拗な営業活動を行って、今日の観客数を維持している。それらの活動が、たった半年で実現できるとは思えない。経営母体はそのままで本拠地を移転した、今年の日本ハムファイターズの場合は、3年間の準備期間を経ての移転であり、営業体制を準備する時間的余裕があったのだ。そして仙台圏は札幌圏に比べて、実人口は半分程度である。
次にチーム強化。サッカーならば新規参入のチームは実力見合いの、下位リーグからのスタートが切れる。しかし、野球の場合はいきなりトップリーグから。トッププロにおいて、いきなり全く新しいチームが好成績を収められるとはとても思えない。現に、過去を振り返っても、ここ30年間で本拠地とチームの経営母体双方を切り替えたチームとして、78年の西武ライオンズ、88年のダイエーホークスが挙げられる。両チームとも、親会社が大量のキャッシュを投入し選手を収集したが、黎明期の成績は悲惨なものだった。チーム強化には相当な継続性が必要なのだ。
野球の素人の私だって、このくらいはわかる。
つまり、2005年から仙台を本拠地にしてプロ野球を行うのは現実的な計画ではないのだ。
もちろん、「将来的」と言う事ならばあり得ない話ではないかもしれない。その場合、ベガルタから見た「仙台の野球チーム」の関係も議論可能になる。総論賛成と各論反対、中長期視野と短期視野、建前と本音、それぞれ前者の立場からすれば、ベガルタと野球は何らかの相互作用で連携して発展できる可能性もあるかもしれない。後者の立場からすれば、仙台圏におけるゼロサムゲームで迷惑なだけになるが。
しかし、こう言った議論は、「仙台の野球チーム」の計画がまともに具体的になってから、であろう。
そのような机上の空論を落としどころに、闘わなければならなかった古田と仲間たちには、同情を禁じ得ない。
しかし、我々からすれば、とにかく迷惑極まりない。県知事や市長周辺のスタッフ、いや、県や市から出向しているベガルタのスタッフは何をやっているのだ。河北新報にまともな人材はいないのか(いや、県庁にも市役所にも河北新報にも、多数知人、友人がいるな、これを読んだら怒るだろうな、まあいいや)。
宮城県人にとっては、こんな空論に付き合うよりも、この週末のサガン鳥栖戦に勝つ事がずっと大事なのだ。
頼むぞ、シルビーニョ、寿人、セドロスキー。
