blog武藤文雄のサッカー講釈

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■ 内容がよかっただけに一層悔しい

 試合後、2時間ほど熟睡してから出社する計画だった。しかし、悔しくて眠れんのだよ。先日から散々愚痴をこぼしているように酷い日程、皆無に近い準備期間、短期的な帳尻を合わせるのならば中村を呼べばよいのに長期的な視野からやせ我慢をする爺さん。相当厳しい内容の試合を覚悟していた。ところが、正直言ってビックリした。これほど日本がよいサッカーを見せてくれるとは思ってもいなかったのだ。

 現地報道によると、恐れていた通りの相当な高温多湿だったらしい。ところが、そのような悪環境にも関わらず、選手たちはよく動く。立ち上がりこそギクシャクしていたが、前半半ばに駒野が思い切りよくシュートを打ったあたりから、日本がボールキープできるようになり、すっかり日本ペースに。
 この悪条件にも関わらず各選手が出足でホームチームを圧倒するのにまずビックリ。考えてみれば、前監督時代は、大事な試合に体調が揃わないのが特徴的だったのだ。フィジカルコーチが留任しながら、この違い。
 さらに啓太がルーズボールをよく拾うのが心地よい。この手の「拾い屋」がチームにいるだけで、随分と楽な試合になるものだ。啓太でも今野でも明神でもよいのだが、ドイツに1人でいいから「拾い屋」がいてくれれば。
 俺もしつこいな。

 前半、幾度か好機を掴みながら決めきれず終了。後半早々は、サウジが両サイドバックを押し上げてきて攻勢に立とうとする。その最中に川口のおバカが出たりして焦る。しかし、押し上げてきた両サイドを達也が突く逆襲を狙う事で、この押し上げは中途半端に終わり、再び日本ペースに。日本のキープ時間が長い試合で、怖いのはサウジの逆襲速攻なのだが、日本の方が体調がよいのか戻りが速く、サウジに逆襲を食らっても、日本陣前は最終的に守備の選手が足りるので問題はない。
 オシム爺さんは明確に「勝利狙い」。寿人を投入して、点を取りに行く。イエメン戦でも講釈を垂れたが、このメンバにおける寿人投入時に「誰を下げるか」興味深かったが、切れ味鋭いドリブルで好機を再三掴んでいた達也が選択された。これはこれで納得できる采配だったが、思うようにボールを引き出せずにいた巻と交代させ、寿人、達也のチビッ子2トップと言う手もあったと思うのだが。さらに、この交代直後に巻が体調を崩し我那覇と交代。ここで2枚目のカードを切らざるを得なかったのは痛かった。
 そして、この2枚目の交代を準備している時に失点。遠藤と啓太の連携ミスからボールを奪われるところから始まるのだが、この場面今まで緩慢だったサウジFWが突然に後方に下がってチェックに来たので、遠藤が驚いてミスをして奪われるのが基点となった。そして、このFWの突然の頑張りに呼応して逆サイドの選手が走り出し展開される。ここでの逆サイドの動き出しも、この日のサウジにはほとんど見られなかったプレイ。今まで敵がサボっていたものだから、アレックスも完全に置いてきぼりを食らってしまった。アレックスには厳しい私だが、これを攻める気にはならない。さらにあろう事か、駒野が対応しているにも関わらず、啓太は中央の選手を置き去りにして、サイドに出て行ってしまう。結果、駒野と啓太が置いてきぼりにされてしまい中央で3対3。それでも、3DFのポジショニングはよく突破のコースをよく押さえるウェイティングをしてくれたのだが、シュートのこぼれ球があそこに行ってしまっては...点を取られる時と言うのはあのようなものなのだろう。
 とは言え、今までダラダラプレイしていたくせに、突然あの瞬間だけ複数の選手が頑張って点を取ってしまったサウジ。と、前監督が率いていた日本は、このような駆け引きは妙に巧かったのを思い出した。前監督の全てを否定してはいけないなと。しかし、ワールドカップはまだ4年先。今、駆け引きで点を取る必要があるかと言うと、この日の日本のように真正面からボールを丁寧につなぎ変化を継続する方が絶対にいい。

 先制された事で、疲労気味でしんどそうだった遠藤やアレックスがまた頑張り始める。ただ、FW4番手の我那覇の特長までは、各自が把握しきってないようで、攻撃は空回りする。我那覇を活かすためには、短いパスを当ててやればよいと思うのだが。巻と我那覇は2人とも空中戦が強く頑張るストライカではあるが、ボールの受け方は全く異なる。そのあたりは、合わせた時間は短いにしても、経験豊富な遠藤にもう一工夫欲しかった(この日の遠藤はとてもよかっただけに、要求はどんどん高くなる、だって小野も中村も松井もいるのだよ)。
 最後の交代カードは難しいところ。よく動く羽生の投入は納得できるが、「拾い屋」啓太を下げるべきだったのか。ここは色々な組み合わせが考えられて、よりシュート力のある山瀬、展開力がある長谷部、両方の力を持つ大悟など、豊富なカードがあった。また代えられる選手も、啓太以外にもアレックスなり遠藤と言う手もあった。いずれにせよ、切る事のできたカードは1枚、巻の負傷が痛かったと言う事だ。
 最後の羽生のシュートは惜しかったのだけれど、いかにも「打ちます」と言うタイミングで打ったため、GKに落ち着いて反応されてしまった。前半の遠藤のミドルシュートもそうなのだけど、ちょっとタイミングを崩したりする工夫があれば、面白かったのだが。
 オシム爺さんが試合後に愚痴をこぼした終盤のチグハグさは残念。ただ選手たちは、パワープレイを嫌っていたようにも見えた。このあたりは、指示の不徹底と言うか、オシム爺さんはわざと指示をしていないようにも見えると言うか。

 想像以上によい出来だった日本。だからこそ、負けたのが悔しかった。悔しいけれど、別にこれで終わりな訳ではない。2ヶ月半前の大会とは違うのだから(ああ、もうこんなに時は流れたのか)。まずはイエメン戦、高地で相当厳しい環境だろうが、丁寧に戦い勝ち点3を確保して欲しい。そして、札幌で復讐戦を共に戦おう。

投稿時間 2006年09月04日
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