blog武藤文雄のサッカー講釈

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■ ヨーク大先生に感服

 トリニダート・トバコは、大会前から最弱の噂が高い。北中米ブロックでは上位3国に大差をつけられ、プレイオフでは日本に子ども扱いされたバーレーンと互角の死闘を制しての出場。いずれの国から見ても、勝ち点3が計算できる、と言うか勝ち点3が必須の国だと思われた。
 けれども、スウェーデン戦で見せたトリニダート・トバコの粘り強い守備振りは、このような失礼な予想をした馬鹿者に土下座させる素晴らしいものだった。ごめんなさい。失礼いたしました。
 ボランチに位置する読みのよい大ベテランヨークを軸に、全員が忠実にスウェーデンの攻撃陣に身体を寄せる。後半開始早々にDFが退場になり、一層守備をしっかり固める意識となり、守り切ってしまった。さすがに終盤は崩される事も多かったがGKヒスロップ(このGKは、川口のポーツマス時代のレギュラだった選手と聞いてまたビックリ)が大当たりだった。たまに見せるカウンタも、FWの走力頼りだが、なかなか効果的だったし。
 欧州のトップチームの攻撃の中心を担っているユングベリにせよ、ラーションにせよ、精力的な動きから幾度と無く好機を作りかけるのだが、粘り強い対応に微妙にラストパスが狂う。それでも、イブラヒモビッチと言う選手は、少々ラストパスが狂っても、シュートポイントの修正の巧い選手なのだから、我慢して最前線に居残ればよいと思うのだが、特に後半焦りからか動き過ぎ。彼にクサビを入れるのはスウェーデンの重要な攻め手の1つだが、最後のズドンのところからいなくなってしまうのは、むしろマイナスだったのでは。
 直前の試合で、2次リーグ進出のライバルパラグアイがイングランドに苦杯を喫した事も、精神的な影響を与えのか。
 それにしても、昨年のトヨタカップでも感心させられたが、ヨークは本当に巧い。若い頃は、もちろん技術も知性も優れた選手だったが、黒人独特の強さを前面に押しだした印象も強かったが、ポジションを後方に移しての巧みさは大したもの。ボールのコースの読みも抜群だが、ボールを奪った後のドリブルのコース取り、ちょっと落ち着いて溜めるタイミングなのが絶妙なのだ。かつてプレミアで大活躍したこの老獪な名手は、イングランドにとっても厄介な存在になるだろう。
 そう言えば、晩年の釜本が時々リベロをやったりした事があったな。本日時点では、釜本とヨークに比べると格落ちの感がある柳沢だが、数年後このような選手にならないだろうか。その前に向こう1ヶ月で世界中を驚かしてからの事ではあるが。

 アルゼンチンはブラックアフリカを仕留めるのが実に巧い。90年の開幕戦、カメルーンに対して守備的に戦い痛い目にあった経験を活かしているのだろうか。94年、02年の対ナイジェリア、この日のコートジボワール、3試合とも肉体能力を活かした敵の攻撃に耐えてボールを奪うや、中盤で実にいやらしいタメを作った上で、人数をかけた攻めを仕掛ける。慌てた敵守備陣からよい位置でのセットプレイを奪い、そこから決定機を作る。
 それにしてもリケルメはいい。過去2大会、オルテガと言う自滅型の10番を軸に戦ったアルゼンチンだが、今大会は超スローテンポが何とも魅力的なリケルメが軸。サビオラとクレスポの強力2トップが、それぞれリケルメのアシストで得点したのも大きい。クレスポがリケルメのFKに他の選手が競りかけている場面に一拍呼吸をおいて飛び込んだ工夫、サビオラのオフサイドラインぎりぎりからの抜け出しと完璧なシュート、いずれも見事なもの。豪快さに関しては、ロナウド、アドリアーノのブラジル2トップに軍配が上がろうが、キメの細かさではこちらの2トップも遜色はない。この攻撃ラインはどの国からも点が取れるだろう。さらにテベスとアイマールそしてメッシと言った控えに回っている芸術家肌のタレントを今後どう絡めるのか。死のグループ突破のために、初戦から飛ばさざるを得ない状況とは言え(前大会も初戦のナイジェリア戦は完璧だったと言う悪い予感もあるのだが)、アルゼンチンへの期待は高まる。
 一方で、コートジボワールもアフリカ最強との噂どおり、見事なサッカー。1点差とする得点は、スピードと揺さぶりでとうとうアルゼンチン守備ラインを打ち破った。最後のドロクバの一撃直前の位置取り(センタリングが上がる直前にスルスルと後退した、マークについていたアジャラはその動きに気が付いていたのだが、動き出しのタイミングが絶妙だったので付き切れず)の巧みさにも感心。このストライカならば、オランダ、セルビア・モンテネグロの守備ラインにも相当な脅威を与える事になる。

 ただ今観戦中のオランダ−セルビア・モンテネグロ、今大会初の欧州勢対決。
 微妙に散見されるスタンドの空席が気になる。まだアルゼンチン−オランダのチケットは未確保なのだ。試合内容については明日以降。

投稿時間 2006年06月11日
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