驚いたのは立正大淞南の、イタリア風と言うかウルグアイ風と言うかの、勝とうとする執念。仙台育英を応援していた私だが、皮肉では一切無く立正大湘南のやり方に感心した。敵ながら天晴れ、まさに「サッカー精神」あふれていた。
前半は、技術、戦術、肉体それぞれに、よく鍛えられている両チームが特長を出す面白い展開(余談:この2チームと同等の戦闘能力を保持するユースチームが国内に数十はあるだろう、私は日本サッカーの将来に極めて楽観的である)。そして後半10分頃、立正大の守備選手が膝の負傷でフィールドを離れる。中心選手らしく、立正大は治療に時間をかけても、フィールドに戻そうとする(アビスパ入りが決まっている選手らしいが、この試合の無理が将来に悪影響を残さなければよいのだが)。結果的に試合全体が何かしら集中を欠いたものになった。その時間帯に立正大が見事なオープン攻撃から先制。育英の精神的な隙をついた見事な得点、やられた悔しさよりも、あの隙を見逃さないしたたかさに舌を巻いた。
その後の立正大の時間稼ぎが実に見事。チーム全体が、時計を進める見え見えの動きを見せる。その時間稼ぎに育英が焦り、前半見せた変化ある攻撃が見せられなくなる。育英を応援している私としては、最初は腹が立っていたが、次第に感心し始めた。一番笑ったのは、25分過ぎに獲得したコーナキック。試合時間はあと10分以上残っているにも関らず、コーナフラッグ近傍でボールキープするのだから。解説の前田秀樹氏(ホーリホック監督)が「大柄なチームなのだし、まだ時間はあるのだから、普通に攻めればよいと思うのだが」と呆れていた。かくして、立正大が焦る育英をいなして試合終了。
初期のトヨタカップで、老獪なウルグアイやアルゼンチンのチームが、イングランドの正直な攻めを1−0で凌ぎ切る試合を思い出してしまった。いや、立正大淞南、お見事でした。仙台第一主義の私としては、育英の敗退はもちろんとても悔しい。しかし、立正大のあそこまで「したたかさ」を見ると、「仕方がないかな」と言う気になったのだ。
ただ、困るのは宮城県勢が負けてしまうと、以降の宮城テレビの高校選手権のテレビ中継がなくなってしまう事だ。明日は何をして時間をつぶそうか。
