最初は、「何なんだこのカードは?」と考え込んだ。そして、日本協会の示している使い方を読んで絶句した。どうやら少年サッカーにおいて、以下の事態が発生した場合に使うものらしい。
(1)怪我をした選手への思いやりとにかく、少年サッカーの現場で右往左往している身としては、非常に違和感を感じざるを得ないのだ。
(2)意図していないファウルプレーの際の謝罪や握手
(3)自己申告(ボールが境界線を出たとき:スローイン、CK 、GK 、ゴール)
(4)問題となる行動を起こしそうな味方選手を制止する行為
(5)チーム(オフィシャルを含む)が試合全体を通し、警告も退場も受けず、ポジティブな態度を示す。(レフェリーは試合終了の笛を吹く際に、チームベンチに向かってカードを提示する)
まず(1)。敵だろうが味方だろうが、負傷した仲間がいた場合、多くの子どもは心配そうに見守っている。もっとも、主審や周囲にアピールできる子はほとんどおらず、近くでオロオロするだけなのだが。それは思いやりがないからではなくて、どのようにアピールしてよいかわからないからだ。それで褒められたら、仲間が怪我したために褒められたと思って、子どもは困ってしまうのではないか。
次に(2)。意図しなかったファウルをしてしまった時に謝罪するのも普通の光景。傷つけた敵選手に「ごめん」と言うのは多くの子がする態度だし、主審に「すみません」と謝るのも日常光景。ただ、主審に促されずに握手をするようになれば、美しいがファウルされた方は痛くてそれどころでないケースも多い。
(3)の自己申告。これを実践する子どもは滅多にいない。グリーンカードをもらった子どもが、試合後にサポータである母親たちに叱られなければよいが。いや、グリーンカード欲しさに、マイボールなのに敵ボールと主張する子どもがいたりして。さらに蛇足を加えると、アルゼンチンやイタリアの指導者に、本件を尋ねた時の反応が知りたい。
(4)は結構興味深い。これは結構少年サッカーでありがちなパタン。自分のレベルに着いていく事ができないチームメートをなじるエース格の子がよくいるのだ。そのような子どもを諌めた子どもは、なるほど大物だ。その子どもにグリーンカード。う〜ん。これは面白い...かもしれない。
(5)についても考えてしまう。底辺レベルの少年大会では、警告も退場もないのが普通であり、その結果終了後に褒められたとしたら、子どもは相当戸惑うだろう。
まあ何にせよ、主審に緑のカードをもらって褒められれば、子ども達はうれしいだろう。しかし、上記した通り、もしまともに運用すれば、毎試合グリーンカードの連発と言う事になり、感動も薄れていく。もっとも、カードの色こそ違え、我々審判たちは皆「柏原丈二感覚」を味わえるかもしれないが。
いっそ、これを導入したいならば、逆に少年の大会ではなく、Jリーグで実行したらよいのではないか。ベガルタが負けている試合の終盤に、ベガルタの選手が「あ、私が出したので敵のボールです」と自己申告してグリーンカード。いくら「逆境を愉しむ事こそサポータ人生」とうそぶく私でも...
いや、Jリーグの場合は逆か、赤も黄色も出さずに試合を終えた主審に、オシムのお爺ちゃんがグリーンカード。
