blog武藤文雄のサッカー講釈

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■ 夢のチーム

 昨日のエントリでも触れたが、21日土曜日の夜、NHKBSで凄い番組をやっていた。あの1970年ブラジルの特集である。
 
 話はいきなり飛ぶ。2003年の6月に長居で行われたアルゼンチン戦(ビエルサ氏が率いるアルゼンチンが、前半はアイマール、後半はリケルメのリードの下、コロッチーニが守備を固め、サネッティがサイドをえぐり、サビオラが点を取り、グタグタ日本がボロボロにされたあの試合)後の事だった。
 大阪遠征した私たちを歓待するために、在阪の友人が相当ヘビーなサッカー狂を多数集めてくれた大宴会。サッカー病に冒されたしようもない人々が集まった。
 このような宴会で自らのステータスを確立するために重要なのは、話題が振られた時に「いかに気の利いた切り返し」をするかだ。
 「アイマール+リケルメ+サビオラ<ディエゴ」と言う不等式の解釈について盛り上がっていた時に、突然ディエゴとペレの比較論に話題が飛んだ。すると急にある人が「武藤さんにとって、ペレのプレイで一番印象的だったのは何?」といきなり振って来た。慌ててクルクルと脳内HDDを回転させて、ヒラメいたのが、「ボールに触らずにマズルケビッチを抜いたフェイント」だった。すかさずそう返答すると、皆が「なるほど!」と納得してくれて、面目躍如。

 と言う事で、NHKBSの「1970年ブラジル特集」。先日のメキシコ五輪と同時間帯なのだが、定期的な番組なのだろうか。今後気をつけよう。
 で、いきなり冒頭に登場したのが、そのヒラメいた場面だった。いきなり興奮した。
 準決勝ウルグアイ戦、。ジェルソンがウルグアイ守備ラインの裏をついたラストパス、すり抜けてGKと1対1になるペレ、飛び出すウルグアイの名GKマズルケビッチ。そこで、ペレはマズルケビッチと正対して上半身を微妙に動かす、ペレの挙動に反応するマズルケビッチ。すると、後方からのボールはペレにも、ペレに反応したマズルケビッチにも触れずにそのまま裏に抜ける。ただし、ペレの動きを防ごうとしていたマズルケビッチは既に転倒していたが、仕掛けたペレには狙い通り、余裕綽々体勢を立て直し、裏に抜けたボールをコントロール。無人のゴールを狙ってシュートを打つが、僅かに枠を捉えられず。過去幾度も無く見てきた名場面だ。こうやって言葉で書くと訳がわからなくなるので、映像を堪能くださいとしか言いようのないプレイなのだが。
 さらに、次々に飛び出す美しいプレイの数々。右ウィングのジャイルジーニョの技巧と強さを組み合わせたドリブル、引き気味の左ウィングのリベリーノの切れ味鋭いフェイントと強烈なシュート。リベリーノが中盤に下がった事でできたスペースに、ジャイルジーニョは再三(反対サイドにも関わらず)顔を出し、敵の守備を混乱させる。トスタンの独特のキープ力による溜め、ジェルソンの技巧的な展開が、さらに変化を生む。ここまで変化をつけられてしまうと、いかにマンマークをつけていても、ペレはフリーになってしまう。そして、ゴール前でペレが再三見せてくれる信じがたい技巧。
 イタリアとの決勝の有名な4点目、クロドアウドとジャイルジーニョでカテナチオ守備網を左サイドに寄せてしまい、中央で受けたペレが「後ろの目」で、後方から進出してくる右サイドバックのカルロス・アルベルトにピタリと合わせる名場面を執拗に繰り返してくれたのも嬉しかった。
 唯一残念だったのは、「ペレのヘディング対バンクスのセービング」が含まれていなかった事。編集者はあの場面だけで別な番組を作ろうとしているのかもしれないので、そちらに期待か。
 最近「この70年以来ではないか」とも言われる程になった強力攻撃陣を持つブラジルは6月どのような舞を見せてくれるのだろうか。それにしても、日本がやれるんだなと。

 と興奮する父の横で、テレビに付き合ってくれた娘。
娘「ペレはどうして『神様』なの?サッカーの巧い人は皆神様と言われるの?」
父「いや、神の域に達したのは、ペレの他はディエゴくらい。後はクライフが『超人(鳥人)』、ベッケルバウアが『皇帝』、プラティニが『将軍』」
娘「どうして神様が2人いるの?」
父「う!...アルゼンチンとブラジルは神様が違うのだ」
娘「そう言えばお父さん、『ドイツではロナウジーニョがうんと偉くなる』って言ってたじゃない、そうなるとロナウジーニョは何になるの?」
父「ううっ!...サル山のボス」
 これじゃあ、あんまりですよね。誰か素敵な呼び名を考えて上げなければ。

投稿時間 2006年01月27日
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