中田のシュートが1人の男にここまでブロックされた事があっただろうか。コロッチーニである。我が掲示板で33歳さんより、注目株と言われたが、なるほど、コロッチーニを見るためだけでも、大阪まで旅する価値が十分にあった。
試合開始と同時に例の女友達がコロッチーニの髪型を見て「タランティニにそっくり」とつぶやいた。78年の左サイドバックタランティニは、カーリーヘアが特色の大柄な超攻撃的サイドバック。ただ昨日講釈を垂れたサネッティほどの攻撃有効性はなかったが。そして、コロッチーニの守備者としての能力は、タランティニどころではなかった。
アルゼンチンのセンタバックと言うと、パサレラ、ルジェリ、アジャラ、サムエル、皆、屈強、頑健、見るだけで恐怖感を漂わせる雰囲気の選手が多かったのだが、コロッチーニの巻き毛はそれだけで印象が異なる。そして、そのプレイ振りは、これらの偉大な先輩たちとはまた異なるものだった。
冒頭に述べたように、コロッチーニは必ず日本のシュートをブロックした。いや、シュートのみならず、日本の縦パスの多くも、コロッチーニに引っ掛かる。引っ掛かると言うより、コロッチーニにぶつかる印象があった。恐るべき読みのよさだ。彼の偉大な先輩たちのプレイは、強さがベースになっていたが、コロッチーニはとにかく読む。
この日大久保は2回ほど、ドリブルでコロッチーニを抜く事に成功した。その度に長居は熱狂したが、残念ながらその時点で、他の選手がカバーに入っており、日本にゴールのチャンスはなくなっていた。大久保がコロッチーニを抜く作業を行っている間に、得点のチャンスは失われてしまったのだ。サッカーにおいて、ドリブル突破は手段に過ぎない。攻撃の目的は得点を取る事、守備の目的は敵の得点を阻止する事。我らが大久保は、コロッチーニを抜く事はできる。しかし、コロッチーニから点を取る事は非常に難しい。悔しい話だが、これは現状の(あくまでも現状と強調しておきたい!)格の違いである。
読みのよい守備者には大きく分けて2つのタイプがある。1つ目は、ベッケルバウア、フランコ・バレシ、イギータ、岡田のように、自らのアクションで敵の動きを制御し、自分が狙った場所に敵の攻撃を誘導するプレイヤ。一方、2つめのタイプは、敵の攻撃を判断し、ひたすら敵が狙ってくる一番危ないコースに自ら入り、敵の攻撃を阻止する。コロッチーニは、典型的にこのタイプ、と言うよりこのタイプで私が見たかつての名手でも屈指の才能である。このタイプのプレイヤの典型例はベロディティチと井原。あの引っ掛かり頻度を見る限り、悔しいけれど素質は井原より上かもしれない。
