blog武藤文雄のサッカー講釈

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■ 不安定と不出来 −インド戦(上)−

 それにしても停電前のロスタイムに点が取れて本当によかった。
 
 その得点のヒーローとなったアレックスと鈴木だが、非常に対称的な選手だが、類似点を発見した。2人とも「安定して『不安定』」なのだ。アレックスは2アシストをしたし何度か好クロスを上げていた。しかし一方で、フリーでラストパスを外したり、無理に抜きに行きチームのリズムを崩したり、中澤がオーバラップした時にミスパスをしてピンチを招いたり、守備でさぼったり、良いプレイも悪いプレイも見せるいつものアレックスそのものだった。
 鈴木は得点以外にも前線でよく粘り好機を演出した。けれども、あの終了間際の決定機を外したり(あそこでもう1点入っていれば、もしオマーンに1点差で敗れても得失点差でイコールからスタートできる貴重な得点となっていたのだが)簡単なボールキープをし損ねたり、相変わらず当たり外れの多いプレイ振りだった。
 いずれの試合でも、90分間中によいプレイも悪いプレイも見せると言う意味で、この2人には共通点があると思った訳。まあ、明らかに集中を欠く事で不安定なアレックスと、集中してプレイはしているが技術的な問題で不安定な鈴木とを、同等に比較するのは鈴木に失礼な事は重々承知しているのだが。

 しかし不安定なのはよいプレイもある訳だからまだいい。大変残念ながら、鈴木の相方高原と、アレックスの反対側加地は、「安定して『不出来』」だった。
 高原の不振は酷かった。持ち味であるしっかりしたキープも、持ち上がりも見られなかった。前半2回あった惜しいヘディングシュートには、この選手独特のポジショニングの良さの片鱗が見られたのだが。不振の要因は試合勘不足だろうかいや、そう願いたい。このストライカは度重なる負傷のためだろうか、非常に上がり下がりが多い。
 00年シドニー五輪、レバノンアジアカップで、それなりに点を取り、トルシェジャパンのエース格となるが、01年は負傷の連続であまり活躍できず。02年早々のポーランド戦で見事な得点を決め、再びエースに復活、ワールドカップのストライカは決定と思われた。あのポーランド戦の得点のように、フリーながらシュートのタイミングが見え見えの状態で、キックの強さと方向で得点を決められるFWは、当時としては日本人としては大変貴重だった(もっとも、状況は2年間で大きく変わった、久保も玉田も大久保も達也も、皆そのようなシュート力は抜群)。ところが不運なエコノミー症候群に倒れ、ワールドカップを棒に振る。しかし、回復後のJリーグでは面白いようにボコボコ点を取りまくり、堂々とハンブルガーSVに移籍。ドイツでもそこそこの活躍、フランスで行われたコンフェデカップでは得点こそなかったが、前線での存在感はなかなかで、この時点では紛れも無く日本最高のFWだった。ところが、昨シーズンは調子が上がらず、HSVでも出場機会は減るは、オマーン戦やシンガポール戦では役に立たないは、最悪だった。そして、エコノミー症候群の再発。
 とにかく、体調を整え、試合勘を取り戻して欲しい。全盛期に戻れば、やはり久保のパートナの第一候補なのだから。ワールドカップ予選はリハビリの場ではないのだ。それにしても、五輪代表として高原が拘泥された理由が本当によくわからない。
 そして加地。試合に取り組む姿勢や精一杯のファイトは好感が持てるのだが、どうして、あそこまで消極的だったのだろうか。この選手の持ち味は、ここぞと言う時の思い切りのよい前進なのだが、後半ロスタイムまでその持ち味を発揮しないのでは...ほとんど右サイドをえぐる場面は見られず、むしろセンタバックの中澤の方が積極的にオーバラップしていたくらいではないか。
 真摯に集中して戦っている選手にあまり厳しい事は言いたくないが、残念ながら「場違い」としか言いようの無い出来だった。「だって監督が選ぶのだから仕方が無い」と看過してよいのだろうか。それとも、オマーン戦、ジーコ氏はこのポジションに中田を起用するのだろうか。

投稿時間 2004年09月08日
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