blog武藤文雄のサッカー講釈

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■ 高円宮杯決勝

 市立船橋−静岡学園と言う組み合わせ。これまた何とも絵に描いたような2チームが残ったものだ。この2チームの豪雨の中の死闘を、安楽にテレビで愉しみながら、2つの事を思った(それにしても、最近このパタンばかりだ)。

 1つ目。このような形式となった大会で、決勝に残った2チームが高校チームでJリーグのユースチームがいなかった事。特に評価が高かったサンフレッチェやガンバがここまで残れなかった事をどう見るか。もちろん、勝負事であり、サッカーのように「運」が左右する競技では、実力がその通りに出る訳ではない。また、クラブチーム、特にJのユースチームが、この年代での勝利に拘泥していない事も確かだろう。
 ただ、この日の両チームに井田、布(もういなくなってしまったようだが)と言う、自他共に認めるカリスマ的リーダがいた事は結構重要なのではないか。両氏に限らず、高校サッカー界には、幾多の選手を育て名を知られた名コーチが多数いる。その点、Jユースの各コーチは、選手時代には名声を持っていても、コーチとしての名声をまだ存分に確立しているとは言い難い。この差はが小さくないように思えてきたのだ。選手としては日本のトップに君臨した森山氏や上野山氏が、ユースのコーチとして実績を重ね名声を確保した時が、日本のユースサッカーシーンが変わる時になるのではないか(もっとも、上野山氏についてはマスコミ的に名を知られていないものの、既に実績は名コーチだと言う人もあるかもしれないが)。

 2つ目。この2チームの育成コンセプトが全く異なる事。強さと組織的攻守の市立船橋、技巧と創意工夫の静岡学園。このタフな決勝でも両チームの魅力が存分に発揮された。
 あの豪雨、ボールが思うように回らないグラウンドコンディションでも、静学は丁寧なサッカーを展開(と言うよりあのコンディションでも自在にボールを扱う技巧の素晴らしさ!)、さすがにこの悪条件ではグラウンダのパスが思うに任せず、市船の中央は破る事ができなかったが、両翼に拠点を作りカーブをかけたラストパスを再三狙う。
 一方、市船の守備がまた見事。1対1で負けかけても、しつこく身体を寄せて静学FWを自由にはさせず、逆サイドも丁寧なカバーリングでスペースを作らない。体勢が崩れた後の修正の速さも見事。
 解説のセルジオ越後氏が、「イタリアとブラジルの試合みたいだ」と無邪気に喜んでいたいが、ここまで特長の異なる見事なチームができるのだから、嬉しくなってくるではないか。逆に言えば、この多様性は現在の日本サッカーの発展に、大きく寄与していると思う。静学が市船の守備を崩せる攻撃力を身につければ、市船はそれ以上の守備を目指して努力するはずだ。これが和製ムトゥとキブーを育てる事につながるのではないか。

 それにしてもあのガラガラのスタンドは何とかならないものだろうか。私自身も所要で埼玉スタジアムに行かなかったので偉そうな事は言えないが、十分に素晴らしいエンタティンメントだと思ったのだが。

投稿時間 2003年10月13日
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