凄い試合だった。
後半60分の先制点。三浦アツのクロスが3本続いた。(ヴィッセルから見た)右サイドのFK。その直後の左サイドからのCK。そして、そのCK直後のクロス。ゴール前には北本と近藤の2人だけ。アビスパのDFは4人。北本はよいジャンプをしたが、3人のDFが北本にまとわりつき、一歩前に出てクリア。ところが、そのクリアが近藤のところに飛んでしまった。3回続いたクロスボール、DFの数は揃っていたのだが、ヴィッセルの連続攻撃への対応のため、バランスが崩れてしまった。それにしても、クリアがちょうど近藤のところに飛んでしまったのは、序盤から戦いまくった近藤へのプレゼントだったのだろうか。
その後のアビスパの連続攻撃。古賀と田中の福岡出身の両翼が左右をぐる猛攻。人数をかけた分厚い攻め。さらにこぼれたボールをキッチリと拾うホベルトの知性。完全にラインを押し下げられてしまい、アビスパの猛攻にさらされながらも、忠実なポジショニングで跳ね返すヴィッセルの守備。もうこうなって来ると、「何がよい、何が悪い」の世界ではない。「誰が勝つ、誰が負ける」と言うか、いや「何が起こるか、起こらないか」と言う域であろうか。
あの終盤のアビスパの猛攻が、ゴールに入るか入らないかについて、どうこう論評しても意味がないだろう。結果として入らなかったのだ。
両軍の死力振り絞った死闘、主審の西村雄一氏もよく試合をまとめたと思う。
ただ、疑問が残ったのは唯一、後半81分の朴康造時の見苦しい交代劇。見事としか言い様のない180分間で、あの場面だけは残念だった。朴は時間稼ぎするならば、もっと巧くやらなければ。交代が指名された後に、フィールド内で靴紐を結び直し、その後全く走らないで退場する見苦しさ。あそこまで演劇性のない振る舞いには、ガッカリさせられた。あまりにレベルの低い時間稼ぎは、この心打たれる180分間の最大の汚点となった。あのような質の低い時間稼ぎに対しては、西村氏は朴を退場させるべきだった。靴紐の結び直しを始めた時にまず警告。その後の明らかな遅延行為にもう1つ警告。
このような試合を体験した両クラブの関係者に感謝、そして羨望。
ともあれ、ヴィッセルは全てを掴み、アビスパは全てを失った。この不公平さがたまらない。
