blog武藤文雄のサッカー講釈

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■ 19年の月日  五輪代表中国戦(下)

 今日は10月26日。我々にとっては特別な日だ。あまりに「メキシコの青い空」「ボールが曲がる、ボールが落ちる」が印象的過ぎるが、その2年後の「アイヤ〜〜〜」も忘れ難い屈辱的なものだった。昨日はあれから18年と364日が経った日だった。この19年間で、日中の関係がここまで変わるとは。この日ベンチに座っていた、19年前の主将の賈秀全氏はどのような思いで、自国の若者のプレイを見ていたのだろうか。

 昨日本田を絶賛したが、他の選手も2トップを除いては皆よかった(2トップについては後で述べる)。
 中でも青山直。中国のFWを終始子ども扱い。前も後ろも強い。フィードも常識的だが上々。再三ラフプレイを仕掛けてきた中国の9番に対し、終始冷静に対応したのもよかった(あの9番は退場になってもおかしくない)。同世代のライバル水本にA代表での出場は先を越されたが、そろそろこの男にも機会を与えて欲しい。。
 そして西川の安定度。劣勢の中国としては、たとえ可能性が少なくても、無理な攻撃をしかけて偶然や幸運を期待したいところ。けれども、西川の存在は、その手の偶然や幸運を断ち切ってしまった。伊野波の頑張り、成長を否定するものではないが、このチームの主将は西川が一番ふさわしいと思うのだが。
 少し気になったのは、梶山。あのタイミングでゴール前に入ってヘディングを決めた事は高く評価できるし、攻守に渡りよくボールを触っていた。しかし肝心要のパスの精度の面で大きな不満が残る。微妙なところでミスパスが多いのだ。梶山の本質は正確なパスワークのはず。後述するが、この五輪代表のMFのポジション争いは極めて過酷だ。その中で台頭するには、まずは得意技を光らせる事ではないか。

 チーム全体に最大の不満は、敵が弱かった事で終盤明らかに力を抜いていた事。特に3DFが中国の2トップをほぼ完璧に止められるため、「この程度のチェックで大丈夫だろう」と言う意識が見え見え。確かにそれでも、止まってしまったのだが。やはりしっかりとボールキープして、交通事故のリスクを僅少にする努力を怠らないで欲しかった。でも、「西川がいるのだから事故もないでしょう」と言い返されそうな気もするが。

 それにしても、今回の五輪代表の質は高い。中盤を例にとってみれば、この日ベンチに座っていたのは、谷口、枝村、水野、上田。いっそ、中盤を総とっかえした方が強いかもしれないとまで思わせる選手層の厚さ。おっと、家長もいたな。さらには梅崎も控えている。反町氏は、これらの豪華メンバを、どのように選抜していくのか。少なくとも、この日については、メンバを固定して終盤まで引っ張りすぎた感があったが、おそらく試合前からそのつもりだったのだろう。ただし、五輪に向けての準備は、時間があるように見えてあまり時間はない。Jリーグの日程次第では、思うような集中強化する事は難しいはずだ。そのような状況で、いかにチームをまとめていくのか。昨日も少々触れたが、これだけ豊富なおもちゃ箱を持つ事は、反町氏にとっては全く初めての経験のはず。氏がいかにチームをまとめようとするのか、愉しみながら見守りたい。
 余談ながら、反町氏は試合後の記者会見で交代が遅かった理由を延々と述べている。残念ながら理屈になっていない。嘘をつくならつくで、もう少しもっともらしい嘘をついて欲しい気もするが、まだ爺さんの域にはほど遠いという事で。(笑)。

 興味深かったのが、2トップ。
 守備ラインと中盤は、Jでの実績がある選手がズラリと並んでいるが、現時点では前線はやや層が薄い。明確な実績を残しているのはカレンくらいか。そのためだろうか、反町氏は「素材型」の選手を試してきた。
 苔口の潜在能力が高い事は誰しもが認めるだろうが、この選手はセレッソでも以前のユース代表でも中々機能せずにきた。どうも、俊足を活かそうとして、サイドMFに起用で使われる事が多かったが、このポジションには、ゲームの組み立てや、周囲と連携しての守備など、難しい仕事も多い。むしろ、爆発的な脚力を活かすためには、最前線に使う方が向いていそうだ。ただし、この場合問題になるのは、ボールを受ける工夫。反町氏もかなり細かな指示をしていたようだが、残念ながらまだ機能しているとはいい難い。やはり、単独チームで機能していない好素材を、代表チームで化けさせようとするのは無理があるのだろうか。
 という事で平山。以前より述べているように、私は平山には大変な期待をしている。この日もストライカとしての片鱗を見せてくれた、あくまでも片鱗に過ぎなかったが。とにかくこの男は体調を整える事につきる(小嶺先生のところで鍛え直せば問題は一気に解決するように思えるが、今はシーズン中だしな)。その上で、とにかく往時のシュート力を取り戻し、一層磨きをかけて欲しい。この日のスタンドは、平山がボールに触ろうとしてもたつく度に、失笑、野次が錯綜し何とも微妙な雰囲気になっていた。その方向性はさておき、皆が平山の事を愛しているのだろう。本人もそれがわかっているから、ディエゴばりの珍得点を決めた後、サポータに投げキスで返礼をしたのだろう。このオーロラビジョンに大写しになった投げキスを見て、技術面のみならず性格面も、この男がストライカの素質にあふれている事がよくわかった。よけた手に当たった得点直後に、あそこまで切り替えられるのだから。

投稿時間 2006年10月26日
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