blog武藤文雄のサッカー講釈

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■ 岡田氏辞任

 マリノスの岡田監督が辞任した。自他共に認める質量ともに優れた戦闘能力を抱えながら、2年続けての不振。やむを得ないとしか言い様がないが、衝撃と言えば衝撃だ。ワールドカップ初出場、本大会で3敗とは言えしっかりとアルゼンチンとクロアチアに抵抗、コンサドーレ1部昇格、コンサドーレ1部残留、マリノスでJ1を2連覇、こう並べて見ると、実績面から言えばやはり日本人監督最高と言っても言い過ぎではなかろう。
 しかし、マリノスの2年連続の不振は不思議だった。確かに日産時代から、陣容の強力さの割りには勝ち切れない伝統のあるチームではあったが、その悪しき伝統を破ったかのような岡田氏の2連覇だったのだが。昨シーズンはアジアチャンピオンズリーグを含めた過酷な日程につぶれた感があったが、今シーズンの不振はそのような言い訳の余地もない。いずれのポジションにも、代表入りしておかしくない人材を並べ、外国人選手も紛れもない一級品揃い。しいて言えば、GKだけは人材不足の感があり、そこは明確な弱点だったが、だからと言ってここまで下位に低迷する陣容ではない。
 これが凡庸な監督ならば、あまりに豊富な選手層にチームをまとめ切れなかったと言う事になるのだろうが、岡田氏は2連覇している時には冷酷かつフェアな選手起用をしていた(結果の良否はさておき、8年前に「切る」と言う事については、日本サッカー史上最大の決断をした実績のある男だし)。逆の見方として、マリノスの負傷者の多さも気になったが、それに備えての選手層の厚さだっただけに、それが決定的要因とも言い難い(無論、負傷者の多さは別な意味で問題だったし、現場の責任者としての岡田氏の責は免れ得ないのだが)。まあ、強いて言えば「トラパットーニも失敗する時は失敗する」と言うくらいか。

 後任に水沼氏を持ってきたのは驚き。コーチとしての実績は無きに等しい男だからだ。もっとも、「9年前に岡田氏が代表監督になった時の実績は?」と言う問いもありそうだが、あの時はあの中央アジアでチームを引き継げるのは岡田氏しかいなかったのだし(笑)。もっとも現役時代の岡田氏を考えれば「これは間違いなく監督としても大成するだろうと、多くの人が思っていただろうが、水沼氏は...う〜ん。
 水沼氏のような天才肌の選手だった監督は、クライフ氏、ファン・バステン氏のように監督としても天才肌の人もいれば、リベリーノ氏、ハジ氏のように「やはりダメか」と言う人もいれば、ファルカン氏、プラティニ氏のように評価が難しい人もいれば、ディエゴのように誰も監督を頼まない人もいれば、ジーコもいる。支離滅裂な事を語るようだが、天才肌の選手が名将になる場合もそうでない場合もあると言う事。
 物凄く乱暴な言い方をすると、日本サッカー界における天才肌の選手が監督をすると、案外と自分の現役時代を忘れたかのような態度で精神論に傾きがちな傾向がある事。釜本氏、故宮本輝紀氏、西野氏などだ(故川本泰三氏の監督振りはわかりません)。強いて言えば古前田氏が、日本人の天才肌選手で少し異なる香りがあるくらいか。
 ともあれ、私は水沼氏には頑張って欲しい。理由は簡単、同級生最大のエリート選手だからだ。水沼氏の高校時代からの僚友田中真二氏、やはり水沼氏にとっては代表でも日産でもチームメートだった柱谷幸一氏、日本人監督としての実績では岡田氏に次ぐ存在の小林伸二氏、組織的なチーム作りに定評のある松田浩氏など、我が同級生には優秀な指導者が多い。水沼氏が彼ら同様のリストに載って欲しいのだ。
 マリノスのサポータの要求は相当厳しいだろうし、マリノスの選手達も新監督の手腕を見据えるところがあるだろう。艱難辛苦の道を選択した水沼氏の成功を祈る。

 岡田氏自身は今回の辞任は相当悔しいと思っているに違いない。いずれ、違うクラブで捲土重来を考えている事だろう。したがって、以下の私の戯言は岡田氏にとってはさぞ迷惑千万な事だろう。
 過日のトリニダードトバコ戦、「早稲田×古河+...」と言う弾幕が登場した。あの弾幕を見た時、最初は大笑いした。しかし、次にとても複雑な想いも感じたのだ。川淵会長の最近の振る舞いは論外だが、早稲田も古河も日本サッカー界に貢献する人を多数輩出しているのだ。早稲田だから、古河だからダメではない。そして両方のANDで飛び切り優秀な心あるサッカー人もいるのだ。
 そして、今日2006年8月24日に、日本サッカー界は、代表選手としてもJSL選手としても持てる素質を最大限に発揮して活躍し、監督としても最高クラスの実績があり、マネージメントの才もあり、知性も教養もあり、全国民にも知名度があり、何より日本サッカーを愛している、無職の人材を獲得したのだ。

投稿時間 2006年08月24日
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