深紅の優勝旗は白河の関どころか、津軽海峡を越えてしまった。私が小学校3年の時に、太田幸司を擁する三沢商が決勝再試合(これは子供心にも本当に興奮した試合だ)で敗れて以降、磐城、仙台育英、東北などが決勝までは進出したものの敗れている(第1回大会で秋田中が決勝進出しているらしいが、自分の父親が生まれる10年以上前の事なので...)。未来永劫深紅の優勝旗は白河の関を越えないのではないかと、東北人としては屈折していた。それを東北以上に練習環境に恵まれない北海道のチームが制覇したのだから、歴史的な事件ではあるな。それにしても、夏の暑い盛りの昼間に、連日試合をするのだから、ご苦労な事だ。
さて、女子代表について、そして女子サッカーについてもう少し講釈を垂れてみたい。
まず、例の2失点の判定の件。
コメント欄に書いてくださった方を含め、複数の方からメールをいただいた。この場で御礼申し上げたい。本当にありがとうございました。また、この週末に地域の審判委員会の方とあの試合について話し合う機会があり、最近の審判の判断基準の動向に対する理解が深まった。
1点目については、残念ながら(笑)ほとんど気にしていない人が多いようだ。やはり私は反則だと思うが、同意と言って下さった方もいた。
結構騒動になっている2点目のオフサイド疑惑。大前提として、あのような審判団に対して、危険なオフサイドトラップはしていけなかったと言う事だ。。審判判定の傾向やリスクを読んでのサッカーなのだ(中田浩二のハンドのケースのように、判定が当方寄りになる事もあるように、このあたりの運不運は裏表なのだが)。
そして、判定についてだが、これはFIFAからの最近のお達しから「オフサイドと見なされる選手はボールの受け手に限定する」動きが主流らしい。したがって、オフサイドポジションにいた選手がパスを受けなかった時点で、その選手はオンサイドになってしまうらしい。したがって、(私以上に審判をおやりになっている)多く方があの場面はオンサイドと考えられている由。でも納得できない(笑)。プレイを放棄しているならさておき、得点への意思満々だったではないか。誰かがルールを決めなければ仕方が無いが、おいFIFA、あれでいいのか(笑)。
おそらく、FIFAのお達しの背景だが、少しでも得点を増やした見かけが派手な試合を増やしたいと言う狙いを感じる。そして、このルール解釈は体格で劣るチームが創意工夫で守ろうとするのを阻害する。つらいところだ。
「体格が劣る」と言う事を上田氏がインタビューで言及していた。当該インタビューの一部(と言うか一連のインタビューの最終段)を引用する。私は、これを読んで、本当に上田氏は大した男だと感心した。
−日本の女子サッカーでもっとこういう風にすれば・・というようなサジェスチョンがあれば教えてください。
「世界の差というのは、まずサイズの差っていうのがありますよね。できれば、大きい子がサッカーをやってうまく、またスピードとかパワーとか、そういう面もですけど・・・体格が、体力が近くなればもっとやれるなっていうのもあると思いますけど。(今回のなでしこたちの戦いは)そういう子が早くサッカーを始めればっていう機会になるかもしれませんよね。そこまで注目されたかどうかはわかりませんが・・・。ただ、今の選手たちの姿勢というか、そういうのが基本的にないと・・そういう意味ではこう(今の選手たちは)“なでしこジャパン”の選手らしい選手達だなと思います」
(J's GOALより引用)
この最後の発言は、現在の日本の女子サッカー全体の課題と、今回のチームの素晴らしさの双方を見事にカバーしている。
今回のチームと言うか選手たちは、肉体的には相当鍛えられていた。多くの選手がボールを自分のプレイングディスタンスに置きさえすれば、米国だろうがナイジェリアだろうがスウェーデンだろうが、少々ラフなチェックをされても、十分持ちこたえられていた。しかし、ルーズボールの争いとなると、どうやっても劣勢だった。ルーズボールの争いでは、「サイズの差」つまり体重なり上背のように、鍛えようのない体格と言う要素、言い換えると天分が重要となる。
一方で今回の選手たちは、「姿勢」つまり向上心に秀でていたので後天的に努力でカバーできる能力は非常に高いレベルまで上げる事ができた訳だ。
上田氏は、「体格」より「姿勢」が重要と断言しつつも、「体格」の不足を嘆いているのだ。ただ単純に「体格」不足を嘆いているのではない。サッカーの本質を見抜いた慧眼と言えよう。
このあたりの検討をもう少し継続したい。
