今シーズンオフは「大物」の移籍が多い。先日講釈を垂れた阿部の移籍が発表された前後に、久保と大久保の移籍も発表された。小柄な方に「大」と言う字がつくのがややこしいが、いずれも潜在能力からすれば日本最高クラスと思われるFWで、ここのところ思うような活躍ができていないところに共通点がある。もっとも、不振の要因については微妙に異なる。久保は度重なる負傷と本人の再発への恐怖症?のため、ベストフォームを崩してしまった。ワールドカップ代表に残れなかった事が尾を引いたのか、マリノスでも出場時間も少なく残念なプレイ振りだった。一方、大久保はスペインへの移籍がどうも水に合わなかった模様で、すっかり試合勘がなくしてしまったようだ。結果的にセレッソに復帰後も、思うような活躍ができなかった。
この2人は、03年の東アジア選手権で2トップを組んだ。特に中国戦は、タイプの違う2人が仕掛ける攻撃で、中国を子ども扱いし、久保の2得点で快勝した(もっとも、中国を子ども扱いする事そのものは、この試合に限った事ではないが)。
久保はトルシェ氏の最初の采配となった98年のエジプト戦で代表デビュー、幾度と無くチャンスをもらうもどうしても代表で点を取る事ができなかった。しかし、件の中国戦で鮮やかな2得点を決めた以降、すっかりと代表での働き場を見出し、あの埼玉オマーン戦の決勝弾、チェコ戦の衝撃的一発を含め、面白いように点を取った。もっとも、04年半ばのアジアカップ前に負傷で代表を離脱した以降は、ほとんど活躍できなくなってしまうのだが。考えてみれば、この選手は代表ではこの3年前の約半年間で猛威を振るった以外は、全く点を取っていない。しかし、その間の猛威だけで「歴史的な記憶」に残るストライカになってしまったのだ。
一方の大久保。04年に入り、主体の活動が五輪代表に移った。UAEラウンドではメンバから外れた大久保だったが、国内待機していていたために「謎の大量下痢事件」の影響を受けず、東京ラウンドでは大活躍。その後、五輪本大会でも猫の目メンバで惨敗した日本だったが、大久保は2得点するなど、存分に活躍。セレッソでもよく点を取り、スペインに向かった。
この2人の2トップは上記中国戦で見事に機能。「個の力」で点を取ってしまうFWが組み合わされたと言う意味では、釜本、杉山以来ではないかとの雰囲気もあった。しかし、このコンビは結局この東アジア選手権の3試合で実現したのみで、しかも3試合目の韓国戦は大久保が定番の退場劇を演じてしまった。その後、2人が連携を見せたのは、サッカー場ではなく、鹿島のキャバクラのみだったのは誠に残念な事だった。
この2人が共にクラブを変えた。「出る」事になった経緯は色々だろうが、復活のためには河岸を変えるのは有効な考えではあろう。そして、偶然にも2人が選んだのはJ2から昇格を決めたクラブ。復活を目指す2人としては、非常によい選択に思える。他クラブと比較して、決して戦闘能力に恵まれてはいないため、「この2人に点を取らせる」と言う狙いを持ったチーム作りになる事が期待されるからだ。
オシム氏が選んでいるFW達は皆とても良い選手だし、ドイツでは高原が活躍している。だからと言って、久保と大久保への期待が低くなる訳ではない。
