いささか旧聞ではあるが、先日わざわざ自国で開催したアジアU17大会で、日本が1次リーグで敗退し、世界大会出場に失敗した。このところ、アジアのタイトルマッチを突破し世界大会に進出する事が「当然の世界」になっている我が国だが、どうにもこの大会だけは苦手にしている。
愛読書サッカーマガジン最新号に、布監督の「敗戦反省インタビュー」が載っていた。盛りだくさんの内容で、わずか見開き2ページとスペースが小さかったのが残念(カレン・ロバートの大判カラー写真に1ページ半も使うならば、その恩師の言葉にもっとページを割いて欲しかったのだが、まあ、我が愛読書も「商売」があるのだから仕方が無いのかもしれないが)。とは言え、反省、悔しさ、言い訳、改革提案などが、理路整然と述べられていて、なかなか面白かった。
しかし、その内容がどうも釈然としなかった。布氏の分析が、いささか短期的にU17で勝つための短期的手段に偏っていたように思えたのだ。氏の指摘と私の突っ込みを列記してみる。多芸な選手の不足(その考えが極端に走ると画一的な選手を望む事になるように思うが)、ユースコーチが世界標準を見据えていない事(これはごもっとも、加えて市立船橋時代の自省には感心)、センタラインに強い選手育成が必要(同じ議論が何十年と続いているが、十代半ばで頑健さが特長で大成した選手はあまり記憶がないのだが)。
また、この大会に負ける度に各方面で語られるより本質的な日本サッカーの課題が、今回も各方面で論じられた。中学高校の切れ目のためにトレーニングがおろそかになる。この年代は高校やクラブでは最年少のため甘えが出る、キッズレベルの取り組みにまだ課題がある、少子化で人材が減っていく等々。
布氏の分析も、上記の本質的な議論も、間違っていないと思う。しかし、私が見る限り、直接的な敗因は、タイに苦杯を喫した事につきる(厳しい言い方になるが、布監督を含めたチーム全体に油断があったように見えたが)。加えて組合せの悪さ。今大会決勝に残った中国、北朝鮮と同じグループだったのだから。いずれにせよ、世界大会に出場するのは、この2国とカタール、いずれも「集団強化」を得意としている国。若年層の大会では、このような国は強いものだ。この年代で中国や北朝鮮にやられても(おっと、中国には勝ったんだな)、現状をそうは悲観すべきではないと思うのだが。まして、エース森本が不在だったのだし。
つまり、この年代は集団鍛錬でもまだ勝てる年代であり、そうアジアでの勝敗に拘泥する必要はないのではないかと思うのだ。これについては、布氏は「世界に行かなければ『経験』は積めないので、行かせてあげる事が大前提」と語っており、日本協会もわざわざ大会を誘致したのだから、何とか出場しなければならないと考えていたのだろう。しかし、本当にそうだろうか。そりゃ、勝って「世界」を経験できれば、それに越した事はなかろうが。しかし、逆に「経験を積むために、無理に勝とうとして早熟な選手のみを選考し、将来性ある適切な選手がアジアでも経験を積めない」と言うリスクもあると思う。必勝は大事だが、それが全てではないではないか。
この年代の前途有為な選手に経験を積ませるために必要なのは、より高いランクでの試合だとしたら、ポイントは飛び級制度ではないのか。以前も触れたが、優秀なユースクラスの選手を合理的にJ2やJFLに出場させる仕組みがあれば、面白いと思うのだが。例えば、厄介なのは、ユースのトップレベルの選手はJ1のトップクラブのユースに所属している事が多く、そう言ったチームの1軍レベルはとても高いから、中々大人での試合が経験できない事。具体的な対策を書き始めると、キリがないので別な機会に譲るが、日本サッカー界が考えていくべき問題だと思っている。
もっとも日本協会も、せっかく世界進出を目指して日本で大会を行うならば、もっと盛り上がる環境で試合をすべきだったのではないか。チケットを必死にさばき、事前にマスコミで煽り、熱狂的な大観衆の下で連戦する環境を作れれば、もっとよい成績を残せた可能性は高いと思う(TVで観る限りでは、それなりには盛り上がっていたようだが、通常の日本代表やJリーグのサポート風景に比べれば、まだまだの雰囲気を感じた、北朝鮮戦は敵のサポートの方が強力だったと言うし、中国戦に至ってはワールドカップ予選のインド戦と同じ日だったのだから)。
そこまで盛り上げて「必勝体制」を採らないならば、敵地で若者たちに経験を積ませる方が有益かもしれないではないか。
ともあれ、明日からU20アジア選手権。この年代まで来たら、プロの君たちに負けは許されません。頼むぞ、平山!
