アジアチャンピオンズリーグもJリーグも語りたい事は多数あるが、今日はやはりイラクの五輪出場権獲得だろう。サッカー狂としては、このアジア西方の巨人が復活を遂げた事はアジア全体のレベルアップのためには非常に喜ばしい事だと思う。一方で、日本代表のサポータとしては、ドイツ予選で何とも厄介な大敵が登場したものだと頭が痛い。
今のアジアでホーム&アウェイのリーグ方式で行われる2次予選で、まともな強化が行われた日本(「まともな強化」が行われていない現状は悩みなのだが)より上位に立つ可能性があるのは、韓国、イランくらいだろう。韓国は永遠の宿敵で、お互い勝ち切るのは困難を極める(ここで「お互い」と言えるようになったのは、ほんのここ10年ほどなのだが)。そして、イランはマハダビキアを筆頭に、爆発的な能力を持つ選手を何人か持つ(ただし、イランは試合運びや安定感に欠けるが)。
では他の国はいかがか。サウジは能力の高い選手はいるがアジア内でも守備を固めたサッカーを行うためか、個々の選手の判断能力はそれほど高くなく、日本は滅法相性がよい。かつてのアル・トゥナヤンやアミンのような知的なタレントが最近出ていないのもつらい。中国は、いつでも頑健な選手を選考するためか、勝負どころの見極めがなく、やはり日本は滅法相性がよい(一昨年五輪代表がアジア大会前の練習試合で敗れた時、後半から登場した小柄でスピードのある名手は、今どこにいるのだろう、あのようなタレントが潜在的にいるのだろうに惜しい)。他の中東諸国は、守備が強く勝ちづらいかもしれないが、攻守のバランスや選手の個性を考慮すれば、一発勝負ならさておき、リーグ戦でしてやられる相手とは思えない(先日の五輪予選のホームバーレーン戦やレバノン戦の失点のように、極めて不運な事態が2度も起こっても、最後予選を堂々と突破したのは、この楽観論の1つの証左となろう)。
しかし、ここにイラクが復活してきた訳だ。元々、イラクはビルドアップから攻撃的なサッカーをする強国。86年ワールドカップに出場した際も、イランイラク戦争でホームゲームができない状況で、堂々と西アジアの予選を勝ち抜いた。あのドーハの最後のイラク戦、劇的な結末があまりに印象的だったが、後半立ち上がり。まともに攻撃をビルドアップして中盤を完全に制圧されたのは恐ろしかった。「オフト」以降、短い時間帯とは言え、アジアのチームにあそこまで日本が中盤を奪われて押し込まれたのは、あの試合だけではなかろうか。先日の国立での試合でも(日本の出来も無様だったのだが)見事な技巧と戦術能力の片鱗を見せてくれたのも記憶に新しい。
今回のイラク五輪チームが、アテネ本大会で経験を積み、適切な強化が継続されれば、ドイツワールドカップ出場の有力候補となるだろう。ワールドカップ予選で、同スタイルのビルドアップ系のチームと虚々実々の戦いを見るのは、娯楽としては最高だが、精神衛生上はよろしくないだろうなと思う。ただ、ドイツ本大会で我々が好成績を収めるためには、そのような経験は大きなプラスにはなるだろう。
いずれにせよ、西方の巨人は復活した。アジアのパワーバランスは大きく変化したのである。
