バロンドールをロナウジーニョが獲得したと言う。
以前も分析したが、この手の表彰は、色々な意味で難しい。今年世界で最も「優秀」だった選手は誰かと言えば多くの人がロナウジーニョだと言うだろう、しかし今年世界で最も「殊勲」の活躍をした選手は誰かと言えば議論が別れるはずだ。欧州チャンピオンズリーグを制したジェラードと言う人もいるだろうし、ワールドカップ初出場と自クラブでの活躍からシェフチェンコやドロクバを推す向きもあろう。まあ、サッカーにおける個人表彰とはこのようなものだ。
ただし、ロナウジーニョのここ2シーズンのバルセロナとブラジル代表における妙技を見ると、紛れも無く群を抜いて「優秀」、世界最高峰の選手と言う感が出てきたように思う。言い換えると、異次元性とでも言おうか。このような印象を持たせてくれる選手は実に久し振り。
ペレ、クライフ以降を考えてみる。80年代前半にプラティニがその雰囲気を見せてくれた(こうやって振り返ると、あのトヨタカップで、その絶頂期の中でも最高の試合の1つと言われる程のプレイを見る事ができた我々の幸せさを改めて感じる)。その後、86年ワールドカップでディエゴが完成、圧倒的な存在感で君臨する。以降、ファン・バステンが異次元性を見せてくれたが、相次ぐラフタックルの負傷癒えず、その輝きは短かった。その後登場したスーパースター達を思い出すと、バッジョ、ロマリオ、ハジ、バルデラマ、ピクシー、ジダン、リバウド、ロナウド、何かこう、もう1つインパクトが足りない感があった。もっとも冴えている時のロナウドの点を取る巧さの評価は議論となろうけれど。
そして、ロナウジーニョは、ディエゴ以来久々に世界サッカー界が所有する「世界最高峰の歴史的選手」になり得ると言う感を抱かせてくれるのだ。
今回の表彰は、バロンドール50周年との事。サッカーマガジンにおけるジャック・ティベール氏も力の入ったコラムを寄せている。そして氏は、ロナウジーニョを、ディ・ステファノ、プスカス、ペレ、クライフ、ディエゴの神話に加わるに値すると断定している。プラティニよりも、ファン・バステンよりも、格上だと。
2002年、ロナウジーニョは3Rと呼ばれて、スーパースターとして遇されてはいたが、あくまでも主役はロナウドとリバウドだった。
大体ロナウジーニョは、準々決勝のイングランド戦で軽率なタックルで退場し、準決勝のトルコ戦は出場停止。その準決勝、緊迫した素晴らしい試合だったが、オーロラビジョンの映像に観客が盛り上がった時間帯が2つあった。1つ目は雅子妃殿下がアップに映った場面、そしてもう1つはベンチの横で出場停止のロナウジーニョが奇妙な踊りでチームメートを応援していた場面だった。
あれから3年経ち、ロナウジーニョは相当出世した。来年ドイツで、ロナウジーニョを軸にするセレソンが、どのような夢のサッカーを見せてくれるのか、期待は大きい。さらにそう考えてくると、コンフェデでそのブラジルと互角とは行かないまでも、美しい攻め合いを演じたのだから、我々も大したものだなと。
