blog武藤文雄のサッカー講釈

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■ ジュビロの監督人事

 一昨日述べたように、好調のチームがいれば、当然負けが込むチームがいる訳だが、そのグループにジュビロが入る事を予想した人は少ないのではないか。そして、鮮烈な監督交替劇。不振のチームを短期的に立て直すために、暫定政権としてかつて見事な監督振りを見せた事のある、大物強化部長が監督就任と言うのはわからなくもない。
しかし、この国内屈指の強豪クラブの最近の監督変遷劇を振り返ると、私のような野次馬が邪推できる材料が多々あるのが愉しい。

 新監督に就任した鈴木氏は一昨シーズン監督を務め、Jリーグ史上初めての前後期制覇を成し遂げた男。このシーズンのジュビロは強かったのみならず、技巧的で魅力あふれるサッカーを見せてくれた。当然このまま長期政権かと思われながら、鈴木氏は早々に監督を辞任しフロント入りしてしまった。個人的には(いくら与えられたチームが精強なチームだったとしても)実に見事な采配振りだっただけに、前線からの撤退を大変残念に思ったものだった(鈴木氏が現場采配に意欲を持ち続ければ、日本代表監督の有力候補の1人になり得るとも思うのだが)。
 勝っているチーム、強いチームの監督を、新たに引き受けるのは難しい。好成績を収めても勝って当たり前、負ければ非難ごうごう。そうした厄介な状況で監督に引き受けたのは柳下氏。そして、柳下氏は大した監督だった。リーグタイトルは取り損ねたものの(あの劇的な久保の得点によるタイトル獲得失敗を監督の責任とは誰も言うまい)、若手に切替ながらの天皇杯制覇は鮮やかな手腕。ところが、今度こそ長期政権かと思われたが、天皇杯制覇を置き土産に柳下氏は退任してしまう。一部報道では、「ジュビロサイドは必死に慰留したが、柳下氏から三行半をつきつけた」との報道もあった。辞任後、氏はすぐにコンサドーレ監督に就任、コンサドーレには甚だ失礼ながらジュビロよりも高い金額のオファーを出せる状態とは思えない。とすれば、野次馬からすれば「何かがあった」と邪推したくなる状況ではないか。
 ジュビロはここで鈴木氏の前任の桑原氏を監督に呼び戻す。桑原ジュビロは、アジアチャンピオンズカップには敗退したものの、J1前期一時は独走態勢。終盤失速してマリノスに信じ難い逆転を許してしまったものの、無難にチームをまとめていた。そうこうしている時の、後期開幕早々の大失速。さすがにこの強チームゆえ、これだけの連敗は耐えられないと言う事だろう。

 まあ、こう整理してみて感心するのは、ここ最近ジュビロの監督は色々替わっているものの、皆が皆大変有能なこと。いくらジュビロの選手たちが優秀だからと言って、監督が無能では勝てないはずだ(もっとも、監督が有能で選手が優秀でも、勝てないケースが結構あるのだが、これは今日の本題とは違う)。

 で、本題に入る。ジュビロは、鈴木新監督が「暫定政権」である事を明言している。とすらば、野次馬は当然「次期監督」を邪推したくなるが、今回のケースは邪推以前の問題。どう考えても「次期」は「山本氏」なんだろうな、としか思えない。元々、柳下氏の退任や、山本氏の五輪準備段階でのジュビロ選手の重視(ただし、私はこれを否定はしない、「好きな」選手を選ぶのは監督の当然の権利である、ただし、山本氏の五輪代表での前田の起用法は、前田の成長を阻害するものとしか思えなかったのだが)から、「ジュビロ次期監督山本氏説」は、以前より根強いものがあったのだから。
 しかし、不思議なのはどうしてすぐに山本氏に切り替えなかったかだ。過去の山本氏の実績を鑑みると、短期の強化期間への対応は実に見事なものがあるのに。五輪代表監督就任早々、練習試合で(当の)ジュビロに大敗したチームを短期間で立て直しアジア大会で準優勝させた。さらに、闘莉王、今野、平山と言った面々が加わり、全く新しいチームとなった五輪代表を、やはり比較的短期間でまとめ上げ、韓国五輪代表に完勝した。ただしこの監督の場合、長期の強化期間のうちに、せっかくまとまっているチームを色々いじり過ぎて、どんどん弱くしてしまうところに課題があったのだが。
 それとも、今回の五輪の不首尾で、ジュビロ首脳陣は「山本氏採用」を断念したのだろうか。

投稿時間 2004年09月14日
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