blog武藤文雄のサッカー講釈

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■ ロナウジーニョの格

 もちろん決めたジュリも見事だったけれど、あそこにあのタイミングと体勢からスルーパスを通してしまうロナウジーニョを、どう表現したらよいのだろうか。いよいよ、ロナウジーニョの技量が神業の域に近づいてきた。ミランからすれば、「一体どうやって守ればよいのだ!」との想いだろう。解説の原氏が興奮して語っていた。「上から見てても、この発想は出ない」

 マークをしていたガットゥーゾは、一体何が起こったのかわからなかったのではないか。粘り強く対応し、ロナウジーニョの体勢が崩れたところまでは認識できただろうが。
 結果的にこのイタリアの中盤の手斧師(美しく激しい手斧師が幾多も登場するのが、この国の偉大な歴史だ)との丁々発止が溜めになった。そして、その対決によってできたゴール前のスペースをロナウジーニョが一体いつ認識したのかは不明だが、ジュリが高速で走り込むピンポイントに、ちょうどインステップキックができる高さで、時間、空間の4次元とも完璧なタイミングでボールが通った。
 4次元ピッタリパスならば、プラティニを筆頭に、ジーコやバッジョやピクシーやハジやバルデラマやリバウドやジダンが、しばしば見せてくれてきた。いや、中村も小野も中田もしばしば見せてくれたし、これからも見せてくれるだろう。ただ、このロナウジーニョのように、パスを出す前にひと仕事、ふた仕事して、予測不能な仕掛けを、それもこのようなビッグゲームで見せるとなると、ペレ、クライフ、ディエゴの域に達しつつあるかなと思えてくる。
 コンディショニングさえ整えば、このドイツでのロナウジーニョは歴史的存在になる期待が出てきた。さらにその前後には、ロナウド(この選手はこの選手で、ワールドカップでの実績は、既に史上最高の9番足り得るものがある)、アドリアーノ、カカ、さらにはロビーニョ、ジュニーニョなど、幾多のタレントがズラリ。これは82年と言うよりは、70年の再来と言う雰囲気すらするではないか。
 
 しかも、このロナウジーニョ率いるブラジルと、我々が直接戦うのだ。歴史を体験できるのかもしれない。
 星勘定からすれば、ブラジルの前評判が高過ぎるだけに、クロアチア、豪州との三すくみが重要となっている。チームとしてもピークもそこに持っていく事になるだろう。また大会前の話題も、この2試合への準備や戦い振りの予想に集中していく事になると思う。私自身も、このあたりについては、これからの2ヶ月間飽きるほど講釈を垂れる事になると思う。
 一方で上記したように、歴史的な存在になるかもしれないブラジルとやれるのだ。ここは己の意識の中の矛盾を感じずいはいられないのだが、志は高く持ちたい。何とか一泡吹かせたいではないか。
 ワールドカップへの出場は、かくも魅力的な現場に我々を立たせてくれるのだ。

投稿時間 2006年04月21日
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