blog武藤文雄のサッカー講釈

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■ イチローのフェイント

 たまには野球の話。
 
 スポーツニュースで、イチローの活躍をボーッと眺めていた。
 相も変わらず、プラティニかルイ・コスタか小野かを彷彿させる、絶妙に敵守備陣の間を突く正確なバッティング。フォクツかカンナバーロか大森を思い出させる、スタンドギリギリでボールをキャッチする守備の妙技。全く巧いものだなあと、本当に感心する。日本でプレイしているうちに、1回くらいは、この選手のプレイ振りを生観戦すべきだったな、と反省したりして。

 とは言えここまでは、まあよく観る光景だ。しかし、今日のイチローのゴール前じゃなかった、本塁前でのプレイには、ビックリした。イチローは一塁走者。味方の長打に長躯し一塁から本塁を狙う。しかし、敵外野の返球も素晴らしく、イチローがホームに到達する前に返球が捕手に届いてしまった。このような状況で、大リーグだと走者は正面から捕手に激突して落球を狙うイングランドの二流ストライカのようなプレイを選択する場合が多い。一方、日本のプロ野球だと無理を承知で迂回したコースで、捕手のタッチをかいくぐろうとする不調時の高原のようなプレイを選択する場合が多い。
 けれども、この日のイチローの選択は、全く意表を突くものだった。捕手と正対して一旦静止。そして迂回するような素振りを見せた直後、突然ジャンプして捕手の上を、走り幅跳びのベリーロールのようにかわそうとしたのだ。残念ながら、あとちょっとでホームベースを触ろうとする刹那に、バーに触れてしまい、じゃなかった捕手にタッチを許し、アウトにはなったのだが。あたかも、敵DFのラフタックルをジャンプして抜き去る、ヨハン・クライフ、ディエゴ・マラドーナ、好調時の中村俊輔を思い出させるアイデアだった。
 とは言え、サッカーならばそのようなアイデアはよく見る光景だが、野球であのようなアイデアと言うのは、全く見た事はないように思う。そう言う意味では、物凄いプレイだと思うのだが、スポーツニュースではそれほど大騒ぎではなかった。私にとって珍しいプレイ程度なのだろうか。誰か、そのあたり野球に詳しい方がいたら教えてください。

 とは言え、あの瞬間、イチローは瞬時の判断で、激突でもなく迂回でもなく、ベリーロールを選択したのだろうか。こんなプレイを事前に練習していたとは思えない。捕手と向き合った時に、そのアイデアがヒラメいたのか。もしそうだとしたら何と言う想像力だろうか。本当に凄いアスリートだと思う。
 改めて、彼がサッカーを選択しなかった事を残念に思おう。

投稿時間 2005年05月16日
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